ハヤカワ・ミステリ文庫 BUTCHERS AND OTHER STORIES OF CRIME 中村保男他訳
初期の短編集だがどれもしゃれた短編で気が利いている。おちが素晴らしい。
肉屋
気の利かないパーシー老人が表れない朝、フランクが冷凍庫をあけると主人のピュー老人が死んでいた。フランクは若いジョーに「パーシー老人の犯行に違いない。」とし、老人のための証拠隠滅をはからせるが、実は帳簿をごまかして追求されていたフランクが犯人。
ヴァンダル族
陶芸で有名な姉マギーの作品を買い集めた妹のパーメンターは、自分流で貝の装飾を施す。画商が買いに来るが「貝の装飾でぶちこわしだ。」と去ろうとする。その後頭部にたった一つ装飾をしなかった姉の作品をたたきつける。
あなたの殺人犯
骨董屋に来ていた初老の女が殺人犯コーダーの像が1000ポンドの価値があるという。主人はその気になってフランスのオークションに夫人と出かける。像が売れた後、夫人と関係を持とうとし、弾みで殺してしまう。後から、像が送り返され、夫人が旅行相手が欲しいために仕組んだ芝居と分かるが・・・・。
ゴーマン二等兵の運
ついていないゴーマン、その彼が死んだ戦友プラムリッジの服を身につけ、脱走。プラムリッジの美人の恋人の所にたどり着くが、あいにく女は他の男と浮気中。そいつにゴツンとやられてのびてしまった。
秘密の恋人
看護婦のパムは旅人トレーシーと恋に陥るが、同じ手口で遊ばれていたギボンズ夫人が訪ねてきて真実を知らされる。夫人から白紙の死亡証明書とニコチンを手に入れて・・・。
パパに話したの
パパからもらったラブレターをそっと取っておいたサリー。ジョナサン坊やが郵便屋遊びをしてそれを近所中に配ってしまった。1通だけ返ってこない。あの意地の悪いルーシーに配った物に違いない。ところが忍び込んでも証拠がない。実は自宅に配った物が・・・。
香味をちょっぴり
自分がこき下ろしていた女流作家のパーテイに男は呼ばれた。主人はしつこく男に問答をいどむ。「15人が合意で殺人の意志を持つことだって、あるんじゃございません?実はここに来たみなさんはあなたにこき下ろされて作家生命を絶たれた人ばかり。」・・・・
ベリーダンス
ベリーダンスの上手なアンジェラは、ダンカンに誘われて、とある富豪の老人に見せに行く。見せ終わった後、ダンカンがアンジェラにせまるそぶり、思わず階段から突き落とし殺してしまった。実は富豪はダンカンの叔父で、ダンカンは死後その膨大な遺産を相続することになっていた。玉の輿のチャンスを逃したアンジェラは刑務所にはいる羽目に・・・。
厄介な隣人
気に入らない隣人が核シェルターを作ると庭に何かを作り始めた。いじわるクローショーはシェルターが、我が家に入り込んでると土地を掘り返したが、高圧線を切ることに・・・。
女と家
夫がコーンウオールに転勤。アニタは夫と家探しをするとたった1件素敵な家があった。買い取り、移り住むと、しばらくして亭主が岩石収集中に事故死。もとの家主が、アニタにいいよりアニタもその気に・・・・。実は元家主は借金で首が回らなかった。「あの女と一緒になれば家がわたしの手に戻る。」・・・
煙草屋の密室
空き室になるのを11ヶ月も待って煙草屋の2階に部屋を借りた男を刑事が訪ねてきた。不在。
後で大家が問いただすと男は「実は今となってはものすごく高価になった切手を壁に張り込んだ女がいた。
それを発見して今は金持ちだ。」と姿を消す。 後から刑事が「あの手でうわさを立て、安い切手を偽造している男」と知らせてくれた。
「何もないはず。」入って見ると、最後の壁に塗り込められた切手の山、けれど色絵の具で塗りつぶしてあった。