ハヤカワ・ポケット・ミステリー THE BIG GRAB 永井 淳 訳
5年の刑期を終えたカール・ヘイスラーは、早速大賭博場(スカイライン・ハウス)大金庫の25万ドルを奪う計画にとりかかる。
大金庫は、地下室に3フィートのコンクリートの壁に囲まれたなかに入っており、4人の男がいつも見張っており、壁に指1本触れば警報機が鳴り響く。
とてもヘイスラーがその道のベテランとはいえ、不可能に見えた。 しかし彼は刑務所で知り合ったフランク・トシを誘い、彼の弟の義理の弟も運転手として仲間に入れた。
武器も手に入れた・・・・。彼は50過ぎ、妻も子もある身、これを最後に引退して外国で暮らすことを夢見ている。
一方スカイラインハウスは、レオン・ベルトウッチが経営していたが最近本部から派遣された若手共同経営者のスタンリイ・ネイジェルと対立していた。
いつか殺してやろうと普段持ちつけぬ銃を懐に忍ばせ、毒入りブランデーを引き出しに隠していた。
さて、犯行当日、屋根、通風孔、エレベーター経由で侵入した悪党たちは、金は奪ったものの予定外の事件に遭遇した。
ベルトウッチがエレベーターから下りてきたスタンリイ・ネイジェルを撃ち殺してしまった。
瀕死のベルトウッチは本部への言い訳を考えながら意識が薄れてゆく。悪党たちは犯罪の精巧にうきうきし車を走らせるが、まもなく彼らはベルトウッチのひきだしから盗んできたブランデーで乾杯しよう、と話し合う・・・・。
映画ではジャン・ギャバンが老ギャングヘイスラーの魅力を演技で出しているが、小説ではそれを筆力でだしている。
金庫を襲うという比較的単純な話だが、人物のおかれている状況、感情の動きなどの描写がすばらしく、生活のにおいと男のロマンがかおる小説に仕上がっている。
(参考)高村 薫 「黄金を抱いて飛べ」
大薮 春彦 「野獣死すべし」