ハヤカワ・ポケット・ミステリー A BOUQUET OF CLEAN CRIMES AND NEAT MURDERS
高橋 泰邦 訳
この作品と「ママに捧げる犯罪はヒッチコック劇場」で毎回放送されたものとのこと。
ヒッチコックの原則が
(1)殺人はきれいなものじゃない。
(2)暴力は正当な理由がなければ退屈である。
(3)本当の気難しやは一人もいない。
(4)犯罪は引き合わないが、楽しいものであることはたしかだ。
(5)遊びは大切だ。(ヒッチコックの序文より。)
その結果がまさに題名の「うまい犯罪、しゃれた殺人」である分けで、どの作品もスピーデイな事件の展開、かいま見える登場者の心の動きの描写、明確なストーリー、鮮やかなおちとあいまってすばらしい作品になっている。
逃げるばかりが脳じゃない
男は盗んだ20万ドルのありかを白状しなかった。出所後刑事が訪ねると、あっさり、金を返したが男はその間に8万ドル以上の利子を稼いでいた。
金は天下の周りもの
同僚スモーリイとのポーカーで負けた新婚のアーヴは新妻に強盗に襲われたと嘘。妻に勧められて?警察に届け出ると「犯人が捕まった。君の盗られた給料袋だ」。実はスモーリイがおそわれたのだが、もちろん彼は警察に届け出なかった。
ペンフレンド
マーガレットのもとに「娘さんのペンフレンドは実は囚人。それが脱獄した。」との連絡。訪ねてきた囚人を通報したが、きずかれて争いになり、殺してしまう。「あなた」マーガレットは掛けより、囚人を抱く。彼女は娘になりすまして文通していたのだ。
犬も歩けば
闇の中、倒れた男は死んだらしい。金に困っていたジョーは財布を抜き取る。ところが「死んだのではない。てんかんだ、医者に連絡してほしい。」の書き付け。良心に駆られてついに警察に出頭。警察は「死んだ男は名うてのスリでした。少し話を聞かせてください。」
41人目の探偵
妻を殺して逃げた男を殺してくれ、との依頼。相手とうまく渡りをつけるが、争いになり、依頼人マンローが死んでしまう。相手は、にやりと笑い「この男は私に妻を殺させたのですよ。今度はあなたを使って私を殺させようしたのですよ。」
不在証明
おかしな男とつきあっている娘の元に母親。娘がいぬすきに男から電話で「妻が死んだ。おれはおまえのところにいたことにしてくれ。」母親は娘に「あの人がおまえのところにはいなかったことにしてくれって・・・・。」
競馬狂夫人
夫に禁止された競馬に夢中の夫人。仲買人から金の請求。寸借詐欺やら色目の男におそわれそうになったりしながら、金を集め、ようやく借金返済。すぐ「第5レースのシカゴを買って・・・。」
気に入った売り家
1万ドルの古屋に7万5千ドルの売値。仲介の不動産屋がとめるのもきかず、男は気に入ったと家主のばあさんと直接交渉。ばあさん「銀行強盗をした仲間が金を我が家に隠してると息子を殺したんです。だからいつか仲間が高値でこの家を買いに来ると思っていました。」毒がゆっくり回ってきた。
最後の舞台
縄抜け師フェルリーニは、水中からの脱出に失敗して死んでしまった。しかし葬式の時、やけに棺が軽いと開けてみると死体がない。実は遺言で知人に死体隠しを頼んでいた。
親切なウエイトレス
ウエイトレスのマリアンは余命幾ばくないマナーハイムに親切だったが、遺産を分けてやると言われ、料理に砒素を少し添加してゆっくり殺そうと考える。ところがマナーハイムの病気が寄生虫だったため、かえって元気になってしまう。男友達にせっつかれて狂ったマリアンはマナーハイムを物理的に殺すことに・・・。
付け値
我が家に押し入った強盗に「別の部屋で寝ている妻を殺してくれたら、存分の金を払うよ。」契約成立で、犯行が終わったらしい頃、男が妻の部屋に忍び込むといきなりおそわれ殺されてしまった。強盗は同じ契約を先に妻としていた。
眠りを殺した男
火災で妻が死んだのはやむを得なかった。ところが弟が「あれはおまえが殺したんだ。」と脅迫、キャベンダーは眠れない夜が続く。弟のうちに押し掛け、口論となり殺してしまった。その晩ゆっくり眠ることができたけれど、寝タバコに対する注意を怠ったために・・・・。
処刑の日
検事セルヴィはついにロッドマンに死刑の判決を与える事に成功した。ところが処刑間近になってアーリントンじいさんが「殺したのは俺だ。」とうとう口塞ぎで殺してしまった。「あのじいさんは「自分が人を殺した。」っていつもふれまわっているんだよ。」