わらの女     カトリーヌ・アルレー

創元推理文庫 LA FEMME DE PAILLE 安堂 信也 訳

 爆撃で破壊された北の町ハンブルグ、34歳、身寄りもなく孤独な女性ヒルダガルデは、ある日億万長者花嫁募集の三行広告を見つけ、応募。億万長者はリッチモンド、ニースでその秘書アントン・コルフに面接、成功する。
 話では「リッチモンドは死の直前、彼の死後私の財産の取り分は2万ドルということだが、あなたに彼の妻になり、遺産相続を受け、お礼として私には20万ドルほしい。ただ作戦を成功させるために、私の法律上の養女になってほしい」というもので、ヒルダは快諾。差し出される書類に署名。
 看護婦としてリッチモンドに近づいた彼女は、アントンと共謀し、毅然とした態度を示すことによって彼の心を捉える。そして結婚。ところが世界航海を楽しむうち、突然ニューヨーク近くでリッチモンドが死んでしまう。
 アントンは「まずいことになった。遺言書の書き換えがまだ終わっていない。とにかくニューヨークにリッチモンドを生きたように見せかけて上陸してほしい。」ヒルダは懸命の演技で試みるが、発覚し、逮捕されてしまう。
 検事は「彼はバミューダ島の「ソラナイス」という植物から取れる毒素による毒殺だ。なぜ、死んだ人間を生きているように見せかけようとしたのですか。本当はあなたは財産がほしくて結婚したのだ。」とせめる。
 彼女は否定し、アントンとの面会になる。アントン「私がうそを言わないなんてあなたはどうして信じたのですか。養子なんてうそ、あなたは私の実子になっているんですよ。そのために身寄りのないあなたを選んだんです。あなたは夫殺しで死刑になり、私は娘が死刑になった父親として同情を受け、リッチモンドの唯一の関係者として莫大な財産の相続を受けるのです。」
 彼女が遺産をとろうとした証拠に偽のテープ、口封じのために使われたとして20万ドルの小切手等が提出され、彼女は万事休す。絶望した彼女は獄舎で自殺する。

 この作品は悪女ものの典型のように言われているが、ひっかかった女とでも訳すべきもの。
悪人はアントンである。とにかく精巧巧遅な完全犯罪計画は見事なもので、虚栄におぼれたヒルダの最後が同情をさそう。

・あなたは、お金のためなら、何でもするというのだから、私の目的にぴったりだ。しかし、それは両刃の件ですからね。・・・・」(37P)

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