ハヤカワ・ミステリ文庫 THE WRONG CASE 小鷹 信光 訳
麻薬と暴力が支配するようになり、荒廃してしまった町メリウエザー、没落した名家の生まれのミロは、遺産が入る日をあてにして酒びたりの日々を過ごしている。
大学教授で楚々とした美人のヘレンが訪れ、行方不明の弟レイモンドを捜してくれと頼む。
しかしレイモンドはヘロインの射ちすぎで死体となって発見された。
他殺の可能性はないか。
故買屋のマフィン、おかまのローレンス、警部補のジャスミン、検屍官エイモス等の力を得ながら、調査を開始すると、少し前からこの地にフランス産のヘロインが出回っていることが判明する。
ミロとヘレンは結ばれる。
やがてミロは袋叩きにあい、マフィンははめられ、友人サイモン老人は丸太に胸を貫かれて殺された。
実はレイモンドは高級ヘロインの密売に手を染めていた。
そしてウイリーローンズ老人が麻薬でらりった状態で拳銃をもてあそび、暴発させ、頭を吹っ飛ばして死ぬ現場を目撃した。そして狂ったあげくの自殺だった。
観光客向けの酒場を経営しているニッキーが元締めで、彼は妻の指示でやっていた。
最後にニッキーが倒れ、麻薬摘発劇は終焉を迎える。
その上のつながりについては警察のしらべる事だ。
最後にミロはヘレンに結婚を申し込むが、ヘレンの母親は、ヘレンが男狂いでしかもレイモンドの母であったことを打ち明け、二人は去って行く。
西部の荒廃した小さな町の人々の生活ぶりが、詩情ゆたかに歌い上げられているハードボイルド。
しかしどうしてこうアメリカの探偵は酒飲みで落ちぶれたのが多いのだろう等と思った。
・「弟さんが家族に腹をたてた理由は?」 「それは家庭内の問題です。・・・・・・・」
・・・・・守るべき家庭生活、素晴らしき家庭生活か、と私は心に中でつぶやいた。
家庭を律する法律が一つくらいあってしかるべきだ。 少なくとも、子供たちにはみずから家庭を選ぶ権利が与えられるべきだし、自分の問題くらい自分で解決させてやるべきだろう。
家庭というのは修羅場だ。 いつも夫か妻かが他人と寝たがっていて、たいがいはひどく悪質な代用品で間に合わせている。
愛などは、まったくとは言わないが、ほとんど問題にされない。(31p)