郵便配達は2度ベルを鳴らす    ジェームス・ケイン

新潮文庫 THE POSTMAN ALWAYS RINGS TWICE 田中 西二郎 訳

メキシコ国境近くの街道ぞいのサンドイッチ店に飛び込んだフランクはそこで働く事になるが、そこはギリシャ人のおやじニックと若すぎる妻コーラが経営していた。
フランクとコーラは「いい仲」になり、ニック殺害をたくらむ。
2度目の犯罪は完全と思われたが思惑通りには行かない。
ちょっとややこしいので事件を追うと以下のようになる。

事件 1 コーラがボールベアリングを詰め込んだ 砂糖袋で浴室で亭主のニックを殴り、それから親父を押さえつけて、おぼれ死ぬまで待つ。
女は屋根から抜けだし、部屋に戻り、調理場で湯が漏れているのを発見、フランクとドアを破って風呂に侵入、死体を発見する予定だった。
しかし停電騒ぎで殴っただけで終わりになる。仕方なく病院で回復したニックに風呂で滑っての事故と思いこませる。


事件 2 車の中でフランクがスパナをニックの頭上に振り下ろし殺す。
崖淵に車をとめ、最後はてこの原理で二人で車を谷底に落とす。
この時の問題は保険の下り方
サケット検事 調査をする気はない。保険会社の味方をし、その調査に従って告訴しようという方針。
金は払わせたくないから、「コーラが保険金を得ようとしてニックを殺害した。従って保険金は出ない。」と解釈。

フランクおよびカッツ弁護士 カリフォルニアの法律で同乗者の怪我につき、操縦者が故意の不当操縦による事故の場合は、賠償を受ける権利がある。

実はニックは3社と契約を結んでいたので30000ドルの請求ができる。
保険会社に掛け合うと、彼らは相談し、事故は過失、10000ドルを支払う事で合意。 結局弁護士側が勝ちフランクとコーラは金を受け取り、しかも釈放される。


事件 3 カッツのところのケネデイがコーラの自白をもとに強請りに来るが、これを撃退。

事件 4 妊娠したコーラと海岸に行くが、コーラが流産になりかける。病院に運ぶ途中運転を誤って壁に激突。

カッツはフランクからすべてを取り上げ弁護に回るが、
「金を取るためにギリシャ人の亭主ニックを殺害、その妻コーラと結婚し、次に全部を独り占めにするためにコーラを殺害した。」
とする、サケットに負ける。結局フランクは死刑を言い渡される。

ハードボイルドと言うがチャンドラー等のものとはひと味違う。
倒叙小説ではあるがクロフツやアイルズの作品とも大きな違いがある。
人間の欲望とそのうつろいゆく考え方がならずものフランクとコーラを通してストレートに描かれている。