新潮文庫 THE SNATCH 高見 浩 訳
私は私立探偵、47歳、独身。パルプ・マガジン収集が趣味。
マーテイネッテイはチャニングと組み、事業を手広くやっていたが、その愛児ゲイリーが学校から呼び出され、誘拐された。身代金は30万ドル、犯人の指定する受け渡し場所に運ぶ仕事を依頼される。
深夜、人寂しい指定場所に30万ドルを置くと、背後で二人の男のあらそう声、戻ると斬りつけられ、自分は意識不明。そばには男の死体。
死んだ男が妹の恋人らしいと言う情報から、マーテイネッテイはゲイリーの居場所を突き止め無事に保護する。
しかし男を殺し、30万ドルを奪ったのは誰か。
チャニングは邸内に取り付けられた盗聴器とガードナーから屋敷の庭師を思いつく。その妻の証言から弟アートシャンリーが誘拐の詳細を知っていた上、無線に明るいとの情報を得て、駆けつけるとそのコテイジの中に彼の銃殺死体。
闇の中からピストルを持ったマーテイネッテイ自身が現れる。 実際はマーテイネッテイは金に困っていた。愛児を共犯者に誘拐させ、相棒のチャニングに身代金をださせ、それを奪おうとした。ところが庭師の弟がそれを横取りしたというものだった。
並行して恋人エリカとの関係を通して主人公の私の生活、考え方が描かれている。エリカは収入少なく、身分が不安定で、危険に常に身をさらす彼の生き方に愛想をつかすのだが、最後に
「おれはおれでしかない。 俺であることをやめたり、別の人間に変わろうとすることなど、出来るはずがなかろうじゃないか。おれはヒーローではない。ただの探偵なのだ。一介の人間なのさ。」
と語るところが印象に残る。
・盗聴器の構造・・・鰐口グリップによって4本の導線に接続。半ブロック内でFMラジオで盗聴可能。テープレコーダのインプット・コンセントとポータブル・ラジオのイアフォンコンセントをコードでつなげば録音可能(199p)
(参考)1大誘拐 2誘拐197X年 3誘拐(高木彬光) 4誰かが見ている 5誘拐(プロンジーニ)
目的 1金5000万円ー100億円 2金(3億円)と権力構造への復讐 3組織内での権力奪取、復讐、金(3000万円)4金(8万2000ドル)5金(30万ドル)
対象 1おばあさん 2財閥の花嫁 3愛児 4愛児とその父の恋人 5愛児
ねじれ 1犯人がおばあさんの人柄にうたれ、おばあさん主導の誘拐劇に 2内輪もめから花嫁が奪われる。花嫁が自分を取り戻す。3過去の誘拐失敗劇を反省しての犯罪 5身代金の横取り
結果 1犯人消滅、おばあさん戻る。2警察の陰謀により犯人も人質も死亡 3人質惨殺、犯人逮捕 4犯人爆死、人質戻る 5犯人逮捕、人質戻る
犯人像 1金のない学生グループ 2学生極左グループ 3社長の弟 4秘密を知った孤独
な自動車修理屋 5依頼人
人質の保管 1人質の知人の家 2自分たちの山中のアジト 4ニューヨークセントラル駅の忘れられた部屋
5犯人が犯行を依頼した男の女の家
誘拐の方法 1散策中を誘拐2ゴンドラから窓を割って浴室に入り、眠っている花嫁を連れ出す。3学校から呼び出す 4押し入って脅迫
5学校から呼び出す。
金の受け渡し 1ヘリコプターから落とす 2橋の上の自動車から河に落とす。3第三者に金のはいったケースの受け取りを依頼、それをすり替えで奪う。4バッグの放置
5山の中の広場にバッグの放置
警察への連絡 1あり 2あり 3あり 4あり 5なし
書き方 1ユーモア、解説風 2解説風 3解説風、犯人サイドが多い
4解説風 5依頼された探偵の語り