半七捕物帳(5)       岡本 綺堂


光文社文庫

新カチカチ山・・・・船を沈める
因幡守が砂山に梅見に行ったかえり、千太の船が浸水因幡守、妾のお早、女中二人が溺死、千太、娘のお春、女中の信が行方不明になった。その後お信と若殿の心中死体が発見される。
実は若殿に惚れたお信が、二人の恋を止めようとするお早を亡き者にしようと、父の船主に頼み込み、船を沈めてもらった話。
(参考)目には目を(カトリーヌ・アルレー)

唐人飴・・・・・三つの話を入り組ませ・・・
青山あたりに唐人飴を売り歩く男、その片腕らしき物が次々2本発見されるが、本人の物ではない。そのあたりに開く女芝居小屋に男芝居小屋、女性客を引き込んで食い物にする常磐津の師匠を話の中心に仇討ち物語と、嫉妬による女優隠しが絡む。

かむろ蛇・・・・・勘当された兄の嫉妬
関口屋は、兄が勘当されたため、弟が煙草屋を次いでいたが、女房お琴、娘のお袖、女中のお由がお参りの帰り、かむろ蛇を見かける。おりから江戸ではコロリが流行し、裏の長屋でも何人かが被害。そしてお由の不審な死。(まむし)実は兄が、弟を嫉妬して仕掛けた乗っ取り作戦だが、六百両の金をぶんどった彼にも災厄は及ぶ・・・。
・コロリ騒ぎで焼き場は大繁盛(115p)

河豚太鼓・・・・種痘の恐怖
湯島天神社殿改築祝いに、葉茶屋菊園の嫁お雛は乳母のお福と一人息子玉太郎を連れて出かけたが、玉太郎が行方不明。人さらいか神隠しか騒ぐが、半七は様子をうかがう小僧や投げ文の書体から内部の犯行と読む。玉太郎に種痘を受けさせまいとしたお福が知り合いと図って隠したのだが、その中に悪い奴がいて・・・。河豚太鼓から足が着いて一件落着。


幽霊の観世物
幽霊の観世物で女が死に、ショック死と思われたが半七は捜査を開始。殺されたのは、女隠居のお半、その後ろから入ったのが駿河屋の養子信二郎とその妾お米、さらにその後ろから大工の清次郎、実は愛欲のもつれから信二郎が幽霊を怖がるお半をかかえ、清次郎が鉄槌で額をたたき、さらに釘まで打ち込んだ物。しかし幽霊が本物の人間で目撃していた。
(参考)後光殺人事件(小栗虫太郎)

菊人形の昔

団子坂で異人三人が女に懐物を掏られたと主張するが、証拠はなし、周りの群衆に騒ぎ立てられ散々な目に遭う。ところがこの間に異人と異人を案内していた別手組の馬五頭のうち二頭がいなくなってしまった。きつねつきのおころが管狐を盗んだとする女に殺された。その事件を追ううち、馬の窃盗犯が判明。

蟹のお角

大川に早桶を捨てて逃げた二人組。桶を改めると死体。横浜で菊人形の昔でおそわれた異人夫婦が殺された。半七は横浜に出向き、異人館にその時の掏摸「蟹のお角」と島田という写真屋が出入りしていたことを突き止める。桶の死体はその島田。
・安政の大コロリ、文久の大麻疹(221p)
・安政元年の春子路から我が国にも写真術の伝わっていたことを断っておきたい(232p)
・マチン、モルヒネ(252p)

青山の仇討

青山六道の辻、浪人がいきなり若党に「おのれ盗賊、見つけたぞ。」と斬りかかり殺してしまう。居合わせた数人を証人に番屋に出頭、仇討ちをしたと主張するがそのうちに逐電。これにの茂兵衛の金右衛門に対する嫉妬から発した仇討ちが絡んだドタバタ劇。

吉良の脇差
五百石福田家の中間伝蔵が手箱の金を盗もうとして見つかり、主人とその妾のお関を切った。そして本家に「表向きになれば五百石がつぶれるだろう。金をだせ。」との強請。断ったため、逐電したが、お関の弟直七がどうしても仇を取らしてくれと半七に頼み込む。

歩兵の髪切り
幕府の歩兵の間で起こった髷切り事件。悪党どもが同輩や大隊長の妾の髷を切って、半七が捜査する事になったが、明治の時勢と共に下手人は捕まらぬままになった。