三重露出     都筑 道夫

三一書房 都築道夫異色シリーズ

私は、S.B.クランストンなる人物の書いた三重露出という探偵小説を翻訳している。その小説は、

日本に忍術の修行に来た外国人サム・ライアンは、頼ってきた記者クラブのビル・ソマーズと殺された警視庁のミスタ・イガとから、マキモノ・ブックの捜査と、ヨリコ・サワノウチから脅迫写真の奪取、を頼まれる。
捜査を開始すると、忍術を操るサナダ・ガールズやナガドス・グミからねらわれ、どたばたが始まる・・・・最後にハルエさんを助け出しに静岡県のシンミリ城に乗り込み、ピンチになるが、間一髪やはり忍者のアキコサンに救われると言うもの。

やたらに外国人の使いそうな変な日本語を使い、雰囲気を出している。

ところが、この小説は、2年前に書かれたもの、ちょうどそのころ仲間内のパーテイで沢之内より子(ヨリコ・サワノウチ)が殺された。その名前が、なぜ外国の小説に紛れ込んだのか。犯人はだれなのか。これが地の小説部分の主題。

筆者は最初パーテイ最中にまぎれこんだ栄子かと考えたが、今は外国に言っている宇佐見の証言をエージェントが伝えたところから、やはり仲間内と判明する。

作者は後書きで「本来、翻訳と称している部分を書きたくて書いたもの・・・。」と述べている。
もしそうだとすると翻訳?部分と地の小説部分の関わり合いが弱い気がする。面白い試みだけれど、二つの小説が交互に語られると興趣が半減するような感じもして、私は別々に書いても良かったような気がした。


・とにかく氷で殴って、殺したんだな。それを溶かすためにバス・ルームに入った。(271p)
・(エレベーターからの消失トリック) エレベーターガールに化ける。・・・・「上へまいります」かなんか、いったわけか。 (297p)