4万人の目撃者        有馬頼義

双葉文庫

最近不調だったセネタースの4番バッター新海清は、走塁中に突然倒れて死んでしまう。
心臓発作として処理されるが、健康なプロスポ−ツ選手の突然の死に不信を持った高山検事は、火葬の直前密かに解剖する。
高山の執拗な捜査の結果、農薬Pによる殺人らしい事が分かり、事件は新海の打撃成績から、新海が何かを目撃したために殺されたのだ、と考えられるようになる。
農薬は市販の錠剤に穴をあけ充填、砂糖液で封印したものだった。
深海は渋谷で元戦友嵐鉄兵に、喫茶店トリップルクラウンを経営させていた。
その店員保原香江の別れたらしい夫卓三は、魚を腐らせ、それを農家に肥料として販売していたが、張り込んでいた刑事に大量の銃の入った箱を引き上げるところを、見つけられてしまう。
ここから足がつき、嵐鉄兵と深海の義理の妹の長岡阿い子が、疑われるが、犯人は大谷石の石きり場に阿い子を突き落としたのではと考えられた嵐。
彼はふとしたことから銃に興味を持ち、収集するが、それを希望者に貸し出す商売を始めた。
その銃は実際の殺人に次々と使われ、深海はそれを止めようとして、逆に殺された。

この物語の横のストーリーとして、深海の後釜に座ろうと頑張るセネタースの矢後の苦悩が、鮮やかに描かれ、一方ではスポーツの面白さを、存分に提供している。