赤い猫            仁木 悦子


講談社文庫

赤い猫
多佳子が身の回りを見ていた老女が亡くなったが、遺言により全財産が遺贈されると聞いてびっくり。彼女は1年ほど前にお手伝いとして入ったが、親しくなるうち、若い頃アパートを経営していた母が殺されたこと、そのころ放火がはやっていたこと、石ころだのなんだのをアパートの部屋の前に、おいて遊んだが、男の家の前には赤い猫の人形をおいたことなどを話した。それを聞いて老女はすべてがわかった。「男は放火犯だったが、赤い猫をみて、それが発覚し、母が強請っていると誤解、母を殺したのだ。」・・・男は老女の息子だった。
白い部屋
入院中の三影探偵が、老人殺害事件を推理するベッド探偵もの。老人は、鈍器で殴られ、風呂場で死んでいた。放置されたからの酒瓶の箱が怪しい。老人の娘は恋人との結婚を反対されていた。老人は婿候補をよく呼んでいたが、牟礼はどうも怪しい。牟礼は別の男のなりすましで、老人に気に入られたのは良いが、お手伝いのオバサンは自分の悪事を知っている。そこで会うことを避けるため、酒瓶の箱のかくして凶器を持ち込み、犯行に及んだ。ただ娘は恋人が犯人と錯覚、死体を風呂場に移動し、外部からの侵入者による犯行に見せ掛けた。牟礼が怪しいから犯人に直接飛び、推理部分が省略されているのが惜しい気がした。
青い香炉
ご存じ嵐の山荘での謎解き。半年目、同じ様な日に、僕の気に入ったバンビなる女性が通っていた陶器の先生が毒殺された。二本の蝋燭、一人の人間で影が二つ見えるところ、ダイイングメッセージの「セー」、青い香炉がなくなっていたが、高価な紫色の香炉は残っている、これは光の色による錯覚のせいとする話等が面白い。横関なる怪しげな男が浮かんだところで、客の一人が逃げ出し、もう一人が夫を殺された話をする。それを聞き、探偵が「交換殺人」と推理する下りはちょっと話が飛躍する感じがする。
子をとろ 子とろ
一人称型。度重なる「子とろ女が出た」という原島紀美子の話は幼稚園を恐怖に陥れた。しかし見たものはいない。そして紀美子と悠ちゃんのお母さん阿津見美佐枝が襲われた。私は実子を取り返したいと考え、病院に着替えの寝間着を持ち込んだ妹の法子が犯人と断定、美佐枝の酸素ボンベのスイッチを切ろうとした瞬間に押さえる。リバーシブルのスカートw¥とカツラにより一瞬のうちに別人になり、現場を去るというテクニックが「黄色い部屋」を思わせ、面白い。
うさぎさんは病気
うさぎさんは病気の歌にのせて幼児の頭に浮かぶ「おばあさんが殺される!」という第六感が面白い。大雨の時通子のおばあちゃんは川に落ちて死んだ。事故死と思われたが調べてみると「孫の事故」と呼び出されていた。実はおばあちゃんは少し前に起きた銀行強盗事件の目撃者だったのだ。エンデイングに作者の優しさが現れている。
乳色の朝
一ひねりした幼児誘拐劇。岩上教授の孫のすみねちゃんが誘拐され、2千万円の身代金が要求される主人公の新聞記者が金の運び役と探偵役をかねる。おばあさんからすみねちゃんを取り返そうと知り合いの女性と組んでお母さんが起こした誘拐劇だったが、件の女性は旦那の恋人。彼女は旦那と相談するが、旦那は新しい恋人と相談、古い彼女を放り出し、金を奪って新しい生活をと考えた。お手伝いのオバサンが「双子」の言葉から彼らの犯行に気づき強請り始める・・・。論理的には成立するが、何か全員悪人で困ったもの。