新潮文庫
推理小説で探偵役および記録役を誰をするか、と言うのは重要だ。作者はすでにあのキャサリン・イチローコンビを考えている。アメリカ副大統領令嬢という利点を生かしてどこにでも首を突っ込めること、イチローの知己の広さが利点だった。このシリーズでは東京に恋人のいるOLあがりの二代目葬儀屋石原明子を想定している。利点は葬儀屋だから死体を見ることが出来る。しかし警察との関係は薄く、権威も薄く、事件の発掘、捜査には必ずしも有利とは思えない。そこを作者がどう裁いて見せるかに期待したが、第一巻を読む限りではやや期待外れだった。
もう一つ、気になったのが葬儀と葬儀屋の仕事の手順である。特にどの作品も葬式のスタイルを決定する宗旨の事を尋ねていないのは不自然に感じた。
赤い霊柩車
京北大学教授小笠原信一郎の妻の葬儀を依頼されたが、死体を見るとネックレスの下が蒼ずんだ輪が出来ており、まるで絞殺されたようだ。恋人の黒沢に頼んで、検死官の父で権威の大山崎教授に聞いてもらうと「真綿のようなものや、真綿をスカーフにくるんだもので首を絞めれば、すぐには索溝がでない。」府警本部に話すと、警察は空の棺を乗せた葬儀車を用意し、本物と入れ替え、遺体を持っていってしまう。絞殺と判明し、容疑者を洗うと皆アリバイがありそうに見えた。しかし死亡推定時刻の誤りや、しんばり棒を使った密室作りと発見時における棒(実は折り畳み傘)の回収などが解かれ、犯人が逮捕される。
しかし話しから行くと随分おせっかいな葬儀屋だし、警察が空の棺を乗せた葬儀車を用意するのはどう見ても不自然な感じがする。
燃える棺
堀川御池に住む入江加津の屋敷が焼け、加津の焼死体が発見された。彼女は睡眠薬を飲んでいたうえ、小さなダイヤを咥えていた。容疑者は財産を相続すると思われるのは甥の入江智夫、妻の麻紀子、地上げをしている不動産屋、加津の愛人工藤健一等だが、その工藤が毒物死体で発見された。皆アリバイがあるように見えたが、明子はなぜ家を燃やしたかを考えた。遺書の焼却および遅動発火装置(油の少し入った天ぷら鍋に、裸のバターを一箱入れて、その上に食べられるロウソクに火をつけておいたらしい。)による自己のアリバイ形成。そして最後はあのダイヤが決め手になった。
黒衣の結婚式
女優でダイエット家の井上和美が琵琶湖の別荘で殺されていた。密室で被害者は部屋の鍵を持っていた。容疑者は俳優など何人か浮かんだが皆アリバイがある。しかし明子はエアコンを暖房に入れて死亡推定時刻を狂わせたこと、鍵は第一発見者が被害者に返したことを見破る。
(参考)
http://www.jodo.or.jp/jodo/jodoshu/soshiki/index.html
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