赤き馬の使者 探偵物語U 小鷹 信光


幻冬社文庫

工藤俊作シリーズ第二弾。
匿名の電話以来で、北海道河東群鹿射町に住む安西誠という男の素行と家庭環境を調査してほしい。金と北海道行きの切符が同封されていた。ところが調査を終え、明日は東京という日に薄野でしたたか飲んでホテルに戻ると、待ち伏せていた見知らぬ三人組みに突然教われ半殺し、「鹿射に、二度と顔をだすんじゃないぞ。他人事に首を突っ込むな。」の声を最後におれの意識は薄れていった。
町はおそろしく閉鎖的だった。安西家はおれを拒否するし、町役場は治療費を払うと言ったものの、迷惑者は出ていってくれといわんばかり。その上バイクの若者軍団に付け回された。しかし最後にお互い正体を明かした時、相手が探している安西誠と分かった。おれは見知らぬ依頼人に報告できたが、しかしあの三人組みに倒さねば収まらぬ。
町の助役の吉沢に呼び出され、スナック「美雪」で暴漢たちと対決、襲った一人を倒した。
町長にあったその後、誠の姉、忍の話から意外なことが分かった。おれは子供のころ鹿射にいたのだ。そこで事故で両親と妹を失い安西家の世話になっている。今回の調査とおれの過去は交錯するのだろうか。
おれはまたハーヴェスターとミルク・ローリーに前後から襲われ、九死に一生を得た。
今安西家は揺れている。相続の問題である。当主清蔵と弟の昭次が土地を売る、と言い出したのである。
昭和21年の網走脱獄事件を調べたおれは野付岬で松浦源太郎の死体が発見されたことを知った。そのころ安西昭次は家をでて放浪していた。そして話に寄れば松浦を発見、彼を倒したというのだが。父の源吉を網走に尋ねると死んでいた。心臓発作だろうか。そして鹿射から連絡で、当主清蔵が首を吊ったとの話。しかし帰り道昭次とその子分高林に襲われ、おれは気がついた時崖の途中に吊るされていた。襲った残りの二人はあいつら、と知るが脱出は命懸け。どうにか病院に運び込まれた。
東京から送られた昔撮った写真からすべてつじつまがあった。昭次と源太郎は入れ替わっている!二つの死は自殺や事故死ではない。殺人だ!犯人にはアリバイがあるように見えるが、鹿射と網走の中間地点で殺し、死体を第三者が運んで吊るしたと考えればつじつまが合う。おれはすべてを暴露するが犯人は忍を人質に逃げ出した。

北海道を舞台に雄大に展開される活劇である。田舎の町の閉鎖性が良く描かれている。最後のどんでん返しもまた面白い。
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