雨女          泡坂 妻夫


光文社文庫

雨女
ベテラン刑事向津は、結婚式披露宴の後見かけた女性に首をかしげた。彼女を雨の日に若い男と一緒に自分の経営するアパートを見にきたことがあった。しかし今日は老人と一所だ。それから半年ほどしてその老人、大学教授の鷲尾拾二郎が自宅で首を吊って死んだ。一見して自殺に見える。しかし現場検証に訪れたとき、不審の念を抱いた。踏み台に使った火鉢を、重病の彼が動かせたはずがないのだ!そこに妻である彼女…・あの雨女が現れた!
男は若い女と一緒になったが、重病に罹り自分の余命が確認されると、分かれた妻が懐かしくなった。そこで女に男をあてがい、分かれた妻を呼び寄せ、思い出にふけると言うストーリーがなるほどと思わせる。

蘭の女

三人目の女

僕たちの太陽
テレビからは赤坂の宝石店に入った強盗三人組みが見事に逃げ失せたと報じている。うまいことやったなあ。
僕たちは坂・伊市朗、坂伊・市朗、坂伊市・朗の三人組み、旅行好きの風来坊。(ふざけている!)北海道の周遊券2枚を拾い、列車に乗った。途中で高実津恵なる女性と知り合い、一緒に旅することになった。列車の中ではトランプを楽しみ賞品をもらい、その上ぼくは彼女に選ばれて同室、関係も出来てネックレスをプレゼントされた。最高!
ところが分かれてから、テレビから高実津恵が自動車事故で死んだとの報。三人で出かけると現場は片づけられ、さまよい歩くうち荒野のなかの無人駅新宿(ふざけている!)についた。ところが駅に高実津恵の絞殺死体!一体どうなっているんだ?
それにしても宝石店強盗三人組みが高・実津恵、高実・津恵、高実津・恵とはまたもふざけているなあ。三人組みは北海道に逃げるつもりだったが切符を落としてしまった。ところがそれを拾った風来坊グループを見つけた。そこで強盗一味の女が、風来坊グループに近づき、犯人に仕立て上げようとした、というアイデアが面白い。

危険なステーキ
テレビは荒又履き物店主人演じるずっこけハイジャックの報道をしている。
笹塚にオープンされる予定のビデオステーキ五号店カウンターの中で、店員の清心寺正典が刺し殺されていた。ビデオステーキの創始者は王石熊三、副社長が妻の時子、品川店は多沼藤夫、雨宮亀代子、新宿店は末松力志、中野店は堀口みず江、笹塚店は西尾哲三と小林星子が店長となる予定だった。しかし三日程前、従業員の一人牛肉から感染する炭疽
(脾脱疽)にかかって死亡しており揺れていた。それでもオープン記念パーテイを開くと言うことで関係者が集まったがこの事件だ!
被害者の手に、死んだはずの女のネックレスが握られていたことから、加害者が女の死を知らず、女の犯行に見せかけようとした、と言うところが面白い。しかも女の死を知らない理由が、ちょうどその時風変わりなハイジャックにあって飛行機内に閉じ込められていたというのだから。

凶手の影
坂田は幼稚園園長佐世保泰蔵の葬儀に紛れ込み、香典を失敬するが、次の仕事としてそこに来ていた鮨屋に目をつけた。赤戸橋商店街のうま鮨で、主人は昔気質の波木悟平、妻貞子、そして息子乃里雄の三人暮らしの一家に店員として入り込む。様子を探るうちに、向かいのスポーツ店の娘田長由雁と親しくなり関係が出来た。主人は儲けた金を金の延べ棒に替えていた。しかし税務調査が入ると知り、おお慌て、マンションに一人住まいする息子に預けた。ところが金の延べ棒を失敬しようと乃里雄のマンションに忍び込んだところ、由雁の首を発見して仰天!
人が死んだ。一方で人を殺した。その時、後から首なし死体が発見されても、被害者に結びつかせず、かつ焼き場で確認したときは死んだ本人と見せるために、胴体だけ入れ替える、というアイデアが面白い。さらに首を剥製にするとき細工をすれば他人に見せることが出来る、というのも驚き。
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