光文社文庫
大型家電量販店の経営者二宮大蔵に、毒を塗られたかみそりと一緒に殺人予告の脅迫状が届いた。普通なら恐れるところだが、彼は、容疑者を5人に絞り、嵐の夜をねらって彼らを信州の山荘パーテイに招待した。息子の雄一郎、その妻雪枝、大蔵の自伝を執筆するうちに大蔵と関係のできたフリーライターの片桐千夏、社員の板倉浩一と妻の小百合である。小百合は大蔵に襲われて関係し、夫の浩一は嫉妬深い男だが、嵐に襲われ、事故にあって死んだらしく現れない。ようやく到着した山荘には大蔵と執事の長谷川老人のみ。さらに遅くなってこの山荘に大蔵のボデイガードの吉村、あるいは夏江の殺人ストーカー三田村等が加わる。
典型的な嵐の後の山荘型ストーリー展開である。電気と電話が途絶え、ろうそくの明かりが頼りの中、長谷川、雪枝、雄一郎が次々に殺され、そしてついには大蔵自身も襲われる。一体、大蔵の計画に乗じて、積極的に参加し、復讐を図るとともに、新しい女を求めて妻を殺し、自己の経理上の不正を隠蔽しようとする地球最後の男は誰か。さらに彼を背後から襲い、最終的に生き残る女は誰か・・・・。作者はこれでもか、これでもかと読者の恐怖心を煽る。まるでホラー小説で夏の夜に最適?
しかもこれは全部千夏の小説の原稿というどんでん返しがつく。そして受け取った小百合が首をかしげたとき山荘の電気が消えた。闇に聞こえる悲鳴・・・・本当の長い長い夜の始まり・・・。
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