暴落企業 清水 一行


光文社文庫

泡の飛沫
山浦は銀行から派遣されて高山建設に出向。しかし創業者の息子のボンボン社長は六本木での女遊びや一週間続きのゴルフと同じ感覚で債務保証を続けた。そして最大手の京栄の倒産。他の会社への債務保証も次々発覚して・・・・。

なにが祖国
久賀グループと連携して静岡照明株を買いあさった白金グループは静岡側の頼みで久賀株を買い取り一本化する。しかし静岡側はその引き取りを拒否。暴落を目前に総帥の春日はアメリカの仕手集団グループに売り抜けようとする。「何が祖国だ。金は儲けられるだけ儲けたい。」

詰め腹
ある生命保険会社で、引退した会長は副社長の内田と組み、取締役会決議により、現社長を追い出すことに成功する。しかし内田は会長のねらいが会長自身の復活にあると知り、「契約のつけまわしによる特別背任」で起訴するとおどす。欲と金に狂った幹部の醜悪な抗争を描く。

影の陰の女
松井楽器は仕手戦のすえ滝不二機械を乗っ取り、松井社長、商社出身の添島取締役等を送り込む。添島は韓国の電気機器をやすく輸入し、叩き売るなどして会社に儲けさせたが、金は親会社にすべて移されてしまった。そこまではよかったが添島は着服した十億円を預けた女の元で倒れ、首を切られる身。「あれは退職金としていただきます。」というが、社長側は音阿を口説いて寝返らせてしまった。

端た金
借金を催促された運転手が「その程度の金が欲しけりゃ、内の旦那を誘拐したら・・・。」誘拐された旦那が「何、五億などたいした金じゃない。」とうそぶく。軽い気持ちだった犯人たちは二人を殺し、コンクリートづめにし、大金を山分け。金銭感覚の狂ったバブル期ならではの犯罪。

六千億円の恍惚
田尻あいはおかしな宗教に凝る妙なおばさん。彼女が融資された金を元に割引債等を買ったり、偽の定期預金証書を発行させるなどして、それらをもとに多額の融資を大手銀行から受け、株式に投資するがやがて暴落、逮捕されるという話。

憤怒の反乱
芝山から芝山機械に送り込まれた北川社長はココム不正輸出問題を身を粉にして解決する。しかし親会社はまた首をすげ替える気。社員の気持ちだけを全く考えず、自分の都合だけを事を運ぼうとする親会社に北川はついに尻をめくる。「副社長の首がとびます。」「それじゃ首になってもらいましょう」というやりとりが面白い。