角川文庫
暴力団山野興業専務徳山、いつも日本刀を振り回すホモだ。
徳山に口きけるのは、村上くらいだ。
南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。
激しい時化にうめく巨大タンカーの中でのスラッジ回収作業。
村上の友人犀が命を落とした。徳山が仕向けたようなものだった。
*
横浜で毒づいたリーゼントの若者を村上は危うく殺すところだった。
徳山の舎弟八木が止めた。
その八木が美也子を争って、美也子の男に殺された。
*
「お前のギターは八十点さ。」
客の村上に説教たれられてサチオは戸惑った。
村上がサチオのギターでブルースを弾き始めた。
客がしびれた。サチオの負けだった。
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若い男が村上に大麻を売りつけた。
ちょっとしたことで争いになり半殺しにしてやった。
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徳山の女、綾はエキセントリックな歌姫。村上のギターに酔った。
今度は、村上にほれた。抱かれた。
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徳山は美也子と美也子の男を叩き切った。
村上と綾の濡れ場を見た。しかしあっさり引き下がった。
「八木が死んだから、俺は仇を討って精力を使い果たしちゃったんだ。」
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村上と綾は激しく何度も結ばれた。
幸せな日々が続いた。
綾は、自分達のバンドに村上を引き入れることにした。
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突然村上は「大麻の元締め」として引っ張られた。
身に覚えのないことだった。
高橋係長と戸上刑事はしつこかった。
自由を奪われることがこんなにつらいとは思わなかった。
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徳山は村上をチクった奴を探した。
サチオと売人…・・二人とも叩き切った。
村上には優秀な弁護士をつけてやった。
やっと解放された。
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綾との再会…・・幸せだった。
「さあ、これからはギタリストだ。おまえのバンドで北海道でも東北でも行くぞ。」
しかしサチオと売人が行方不明になった、と知った。
*
「殺しちゃいけねえよ。」やっぱり、村上には徳山が許せない。
銃を買った。また徳山の巨大タンカーに乗りこむ。
そして対決……・。
まさしく北方謙三の解説にあるように、読むブルース。短い、乾いたセンテンスがものすごいことをさりげなく伝える。
自分だって売人を半殺しにしている。まして徳山は、自分の仇を撃つために二人を殺した。殺さなくったっていいじゃないか。確かにそうだ。しかし何か許せない。スラッジの海に消えた犀の絶望的な顔が目に浮かぶ。やっぱり、おれは徳山をやらなけりゃいけない。ところがおれは失敗。もう、これまでと思ったら、どこか狂って、アンコ共が徳山を倒した。そして海に投げ入れ様としている。これでいいのか。悔いはないのか。
「徳山さん。あいかわらず俺、青臭いのがなおらないよ…・。」
あらすじを原文のスタイルを真似て書いてみた。やさしいようで難しいですね。
・ 満員電車に乗るサラリーマンには電車という檻があり、会社という檻があり、給料というきつい檻があり、家庭というどうしようもない檻があり、老後という来るか来ないかわからん檻さえある。…・・いいか。人には自分に合った檻があるんだ。そして誰も檻からでられない。だから、辛い毎日は、絶対になくならない。酒でも呑め。シャブを射て。(215P)
・ ブロンクスのギャング共はビート・ザ・システムと叫んで強姦し、殺し、奪う。しかし弾の飛んで行く方向は同じ下層階級で、結局は自分の心臓に弾は飛んでくるのさ。(216P)
・ 奴隷解放とは、アメリカが農業国から工業国に移行するための、興業労働力確保の政治的一手段に過ぎなかった。(390P)
・ チャーリー・バットンの生き方は、ずるくて、汚くて、少しだけ格好良くて悲しいから。だからブルースでさ、ブルースなんだよ。人格者なんてクソ食らえ、だ!(502P)
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