毒猿 大沢 在昌

カッパ・ノベルズ

台湾ヤクザ葉威は、毒猿なる殺し屋を裏切り、日本の石和組を頼ってその追跡を逃れてきた。毒猿も日本にきたらしい。今まで毒猿はテコンドウの名人でねらった者を必ず殺している。鮫島はその毒猿を追って台湾警察からやってきた許と知り合いになる。
一方歌舞伎町の女給奈美は、日本語が分からず、いつも店長の亜木にいじめられている楊に同情していた。ところが楊を心配して閉店後店に戻ると、楊は亜木を殺してしまったという。楊に頼まれて、新宿御苑台湾閣に亜木の元締め安井組長等4人を呼び出すと、楊は彼らを倒し、石和組の所在を聞き出した。
楊こそ実は毒猿だったのだ。楊は虫垂炎で時折薬を打たねばならぬ身。奈美は実は台湾系、毒猿に恋心を抱きながら行動を共にするが、毒猿は石和組の舎弟を次々に襲い、かくまわれている葉にせまって行く。その過程で許が殺され、奈美が石和組に捕らえられる。
最後に許の意志をうけた鮫島、毒猿、石和組の羽太以下20名が先の台湾閣で対決、最後の勝負が始まる。
台湾から来た命が限られているテコンドウの英雄、毒猿の活躍が読みどころ。後半の森上げはさすがで一気に読ませる。
・中国政府は破壊工作の一貫として銃を台湾に輸出。(93p)
・本来その仕事は、容疑者が日本の土を踏んだ時点で、日本の警察に委せるべきだ。ICPOを通じて手配すればいい。(113P)
・貧富の差はとてつもなく激しい。者恋の元締めがいて、そいつが田舎から赤ん坊を勝ってくる。そして目をつぶしたり手をちょんぎったりして、わざと街頭にたたせるのさ。・・・・はじめにそれを知ったときぶっ殺してやりたいと思った。が、、そいつは皆、生きのびるためなんだ。(119P)
・警察は政府を守ることが一番・・・・その意味では泥棒よりも反政府主義者の方が、警察にとっては大事なお客さんなんです。(124P)
・台湾では、強盗や誘拐を繰り返すギャンググループが組織暴力団の幹部を誘拐して身代金を奪う、と言う事件がいくどか起きている。(130P)