講談社文庫
ゼネラル物産は、売れっ子歌手結城ちひろに新曲を歌わせ、インスタントカメラ「パチリコ」を売り出そうとしていた。その彼女が、誘拐され、犯人側から1億円を払え、の要求。これに対しゼネラル物産の長谷川はこの際身代金を払って宣伝しようと提案、受け入れられる。
犯人は、周到な準備の上、金を段ボール箱に入れさせ、日東通運を通じて名古屋に送らせる。警察は密かに箱に発信器を取り付け、輸送車をおったが、見失う。箱は名古屋で空き地に捨てられていたが、中身は新聞紙に変わっていた。しかし結城ちひろは釈放され、その新曲は空前のヒットを飛ばし、宣伝は大成功を治めた。
警察は、同時に送られた100キロ近い大型荷物に犯人が入り込み、車の中ですり替えたと判断し、その行方を追う。一方、あるとき新聞に事細かに写真を使って事件を報道する記事が発表され、警察は驚く。長谷川が知り合いの新聞記者土橋に事件をリークした結果おこったものだった。そして土橋の惨殺死体発見。
やがて警察は、なぜ犯人は新聞紙入りの箱を捨てたかに着目、車の中で荷物を変えるのは無理と判断、名古屋行きはおとりで犯人は日東通運にいたと判断。さらに株取引でこのころゼネラル物産とやはり結城ちひろが関係していた洋酒もどきメーカーの株を買う男を発見。ついに洋酒もどきメーカーの宣伝を担当していた報通社のスタッフ神明等を逮捕した。
「パチリコ」ではなく、洋酒もどきをさらに宣伝するため、犯人達は台湾ロケに行ったと見せ掛けて戻り、結城ちひろ誘拐を企てたのだった。しかしこれを土橋がキャッチ、強請始めたため殺さざるをえないことになった。
良くある誘拐もので、最初から長谷川が怪しい、さらには報通社の連中もと感じさせるところがちょっと残念。しかしストーリー全体は、わかりやすい文章で、テンポ、プロット共に抜群、読み出したら止まらないくらい面白く書けている。
・あの長谷川という男は、殺人を犯すほど馬鹿じゃないよ。ちゃんと計算の出来る野郎だからな。(308p)
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