文春文庫
元号裁判
高内正昭は運転免許証の生年月日欄、交付年月日欄、そして、その下の「…・年の誕生日まで有効」と有効期限を示す欄、さらにその下のほうの免許年月日欄…・、すべての元号年をマジックインキで消して、同じ西暦年月日を書き加えた。さらに甥の免許証にも同じ事をしたが、その甥に訴えさせ、裁判にした。大正と昭和の境目に生まれた高内は元号と言うものに疑問を持っていて、取りたてて実害がある分けではないが、こういう事をした。当局としてみると書いてある事実が変わるわけではないから、公文書変造等に当たらず罪を問いにくい。新聞記者の大津はこれを記事にしようと八方飛び回る。しかし本社から保守的らしい正井が出てきたからやりにくい。どうも高内の考えは有罪で執行猶予の判決を受け、控訴し、元号議論をおこさせる腹のようだった。しかし公訴棄却になってしまった。高内が亡くなったのである。
なおこの作品は元号法施行以前に書かれた作品。元号法により、昭和や平成の根拠など一部の問題が解決された。
・元号法 施行 昭和54・6・12
@ 元号は、政令で定める。 A 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。
附則(抄) A 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。
年齢論争
歳をとるのは誕生日の零時か、それとも前日か。どうやら法律は別れているようだ。これもちょうどその日がたとえば美人コンテストなど年齢によって制限を受けるような場合には重要な問題になる。
しかし、元号法にしろ、年齢論争にしろ、推理小説の範疇に入るのか、と言われると…うーん、分からない!!
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