祥伝社ノン・ポシェット
和泉冴子は、育て親の下を離れ、宗像家に迎えられることになり、叔母宗像千代が校長をする聖真女学園高校に転校した。厚い校則集があり、ひどくしつけの厳しい学校で、生活指導の原から早速服装等で注意を受けた。聖真寮3号棟に入れられ、彼女を原からかばってくれた高取恵と同室になった。管理人山村トヨ子は穏やかに見えたが、ひとみに何か吸い込まれてしまいそうな不思議な光が宿っていた。
女生徒の中心は、お嬢さん育ちで美貌の城崎綾で、高取恵は魔女と呼ばれていることが分かった。その恵が深夜寮の外れにある特別室と呼ばれる開かずの間で、焼死体となって見つかった。シャワーが出し放しで、近くにガソリンを運んだビン、点火に使ったライター…。警察は学校の圧力に屈したか、自殺と発表したが、他殺の疑いが広がる。
冴子は生理になると赤い液体に悩み、しばしばめまいに教われ失神する。記憶の彼方に消えた子供の時の悪夢がよみがえる、お姉ちゃん、真っ白の氷が、次の瞬間真紅に染められ…。恵のもとに恵の兄高取俊記が調査にやってくる。しかし事件はとまらない。同室になった堀江千秋が浴室で、何者かに刃物でめった突きにして殺される。「あなたが来てから悪いことが起こり始めた。あなたは疫病神やったにだ。」と冴子を非難した中里君江が、寮内の風紀を乱すとして謹慎室に閉じ込められた。その晩、何者かに襲われ殺されてしまった。
冴子に、夢遊病の気があり、夜間その姿を見たとして女生徒の間に「あなたは魔女だ、あなたがやったに違いない。」との非難が広がった。しかも冴子自身も自信がない。「ひょっとしたら私が犯人かも知れない!」
ドロップアウトした老刑事の口から、二つの過去の事件が明らかにされた。35年前、冴子の母宗像加代が16か17のころ岩倉美津子という女生徒があの特別室で焼身自殺した。12年前、加代の嫁ぎ先大河原家で夫の肇と長女の圭子が殺された。犯人は加代らしかったが、その後精神病院にで亡くなった、と言うことだ。次女の冴子は養女に出された。
さらに親しい守口委津子の口から冴子に、普段押さえつけられている事に反発するように、城崎綾を中心に堀江、中里、関、桑原の5人の間で魔女狩りが行われていること、高取恵を魔女にしたて、特別室でショケイの真似事を行ったが、本当に油に着火し、焼き殺してしまったことが告げられた。
やがて関みどり、桑原加乃、最後に城崎綾と次々に殺人鬼の犠牲者となって行く。過去の事件は今回の事件にどのように陰を落としているのだろうか。そして疑われる冴子は、どうしたら良いのだろうか。
ホラー小説としていい線は行っていると思う。イタリア映画「サスペリア」に触発されたとあり、機会があれば見てみたいと思った。自分の過去発掘という点では、大田忠司の「僕の殺人」、島田荘司の「異邦の騎士」などを思い起こさせる。ただなんとなく少女小説っぽく、魔女狩りという狂気の生成過程、生理と共に精神が不安定になり、殺人まで犯す女性心理などが作り物という感じを与えている点は、他の作品同様、否めない。
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