一瞬の魔     夏樹 静子


文春文庫

一瞬の魔
資産家老女から、土地売却代金にからむ1億円をあずかり、その死を契機に、男と女はそれを架空名義の口座に移し、使いまくった。しかし資産家の会社に監査が入り、それが発覚した。男は女に罪を着せて、逃れようとするが、女は男が自分を消すのではないか、と疑う。


黒髪の焦点
同級生4人が訪問したとき、坂上倫子はストッキングで首を絞められて死んでいた。遺体に付着していた三本の髪の毛が、DNA鑑定の結果、一致したため勤め先の室長大館に嫌疑がかかった。しかし大館は頑強に否定し、一方で16年前に起こった倫子を含む女高生売春事件が浮かび上がった。


鰻の怪
浜松館山寺温泉を訪れた女客は、昔の同級生が経営している養鰻池を訪問した痕、姿を消した。放置された池にはボク鰻と称する、出荷されなかった巨大鰻が住んでいる。ひょっとして男が女を殺し、あの池に放り込んだのではないか?池をさらうことになったが、困ったのは養鰻池を経営する件の男だ!


輸血のゆくえ
若夫婦は近所の中年の男に誘われてイワナ釣りに出掛けた。ところが夫がふとした事で、木を足に刺し、多量の出血、馬匹専門の獣医である妻はたまたま夫と同じ血液型の中年男に輸血を頼み込む。しかし血を採取しすぎたために、中年男はショック死してしまった。以上が事件だが、裏に何かある!抗凝固剤クエン酸ソーダ、馬用の十四ゲージの注射器などよく調べられている。


深夜の偶然
その男は、出刃包丁突き刺されて即死し、果物ナイフで死後もう一度刺されたらしかった。やがて愛児をひき殺された恨みを持つ女と、突発的な喧嘩で恨みを持つ男が疑われた。しかし死後刺した者は不能犯と言うことになり、罪に問われない。凶器が見つからず、このままでは二人とも起訴できない!
020524