重要参考人 清水 一行


集英社文庫

とかく金権体質で知られる中京医大理事で産婦人科医院を経営する菊川は、事務長の森と共に、突如として赤軍派を名乗る2人組に監禁され三億円近い金を奪われた。
犯人追及を訴える菊川に警察とマスコミは執拗に狂言強盗を疑う。さらに地検は菊川に反対するグループの考えにのり、二課と一緒にこの際医大の不正にメスを入れようとする。初動捜査は遅れ、菊川等の家族の生活は破壊され、どうにもならない状況が続く。
一年以上の遅れの後、ようやく真犯人が逮捕されたが、菊川の起訴猶予が決定されたのはそのあとであった。ふたたび押しかけるマスコミに、菊川は冷たく「菊川は死んだ。」と家人に言わせる。
間違って誘導された世論に後押しされた警察、検察の権力体質とマスコミの横暴さがが読者を震え上がらせる作品である。
・僕のおごりは裁きを受けた。でもマスコミはどうでしょうか。・・・・・いつも裁きとは無難な場所で、何があろうと、誰が泣こうと苦しんでいようと、知らぬ顔で煙草をくわえ、見下している。彼らには反省もダメージを受ける事もないんです。(347p)