解決まではあと6人     岡嶋 二人


講談社文庫

平林貴子となのる謎の女が、次々と異なる興信所を訪れて、およそ事件とは思われない調査依頼をして行く。
第一の依頼は、あるカメラの買い主を捜して欲しい。保証書と修理依頼書から持ち主は寺西憲章と分かったが、彼は吉池礼司のアパートで死体となっていた。
第二の依頼は、Vで始まる単語二つからなる上がマンションの都内の喫茶店を探して欲しい。なおマッチの色は緑色である。さんざん苦労したすえ品川の喫茶「VentVert」を探し当てる。捜査をしている刑事の副島と堀内は、吉池礼次の引っ越し先の手がかりとしてそのマッチが選ばれたことを知る。
第三の依頼は、盗まれた車が帰ってきたが後部シートがなくなっていた。なぜ、はずされたか、その理由を調べて欲しい。スクラップ車の中で発見するが、回収に戻ると何者かが布を切りとって持ち去っていた。
第四の依頼は、三本の雑音のような音楽に隠されている情報を探し出して欲しい。ベースの音楽を取り払い、現れた記号がパソコンの記号であることを確認、Rをロテーションと解釈して解読に成功。それは安岡良吉(後に宇野茂雄と分かる)等を中心とする麻薬取引の覚え書きだった。
第五の依頼は、日東運輸の宇野茂雄をある場所に呼び出し「吉池礼司はいつ戻るのか」と聞いて欲しい。依頼先は吉池礼次が殺人事件の容疑者であること、日東運輸で最近5000万円の現金輸送車襲撃事件が起き、その時の運転手が宇野茂雄、頼んだ平林貴子が但馬久子なる日東運輸の事務員であることを発見。そして但馬のアパートを捜査し、今までの依頼の答えを発見、はじめて事件の全貌が見え始める。宇野を呼び出したとき探偵社の二人は、襲われて気を失い、気がつくと側にはあの平林貴子の刺殺死体。
「実は寺西、吉池が現金強奪を計画した。麻薬取引で近かった日東運輸の宇野を仲間に引き入れた。しかし宇野が仲間であることをカモフラージュするために、但馬を勧誘。彼女はその職責を果たしたが、仲間の寺西、吉池が行方不明。(彼女は宇野が仲間とは最初知らなかった。)捜査のためにいろいろ調査を依頼したのだった。しかし宇野を追求したところ、吉池らしい男に殺された・・・・。」これが副島の解釈だった。
しかしなぜ、探偵社の二人を殺さなかったのか、但馬を呼び出したのは誰か、など疑問を持った堀内は、宇野がカモフラージュに但馬を使ったように、彼らをカモフラージュに使った影の人物がいると判断。副島に疑惑の目を向け始める・・・・。
「細い赤い糸」「黒衣の花嫁」「死の接吻」などと同じメドレーミステリー。刑事が真犯人とした点でもこの作品は異色。そういえば「後鳥羽伝説殺人事件」の犯人も刑事だったことを思い出す。