記録された殺人        岡嶋 二人


講談社文庫

記録された殺人
証言をつづり合わせて物語を語る、と言う手法が「罠の中の七面鳥」を思わせる。
広告会社で微速度撮影フィルムの分析をやっていた植松のもとに、柴山なる男が押し掛け、フィルムを奪おうとして争いになり、植松は柴山を刺し殺してしまう。柴山のペンフレンド瀬川邦子の絞殺死体が、公園の物置で発見された。フィルムには柴山が瀬川と密会している様子が映っていた。柴山が瀬川を殺したものと解釈された。
しかし、瀬川は増村慶子と同室で、互いに生命保険を掛け合っていたこと、子供が、瀬川の死亡推定時刻以後に物置で女を見かけていた、などから、増村と植村が、保険金詐欺を目的として、別の場所で瀬川を絞殺、柴山を公園に呼び出し、増村が柴山を物置に誘う様子を微速度撮影した、と見破る。
バッド・チューニング
木暮は、リーダーのジャイロ、紅一点のタッフィー、ネスパよりなる売れないグループサウンズ、スリー・パーセントのマネージャー。ラジオからは、銀行強盗が仲間割れし、犯人の一人が殺されたとのニュースが流れる。木暮をおかしな男が襲い、ジャイロが消え、タフィーはやめたいと言い出す。ややこしいことになった。
ネスパとタフィーの田舎を訪れると、海に突き出たカーブに突然対向車があらわれたが、たまたま割り込んで来た車があってそちらがぶつかり、大事故。ところが死んだ対向車の車の運転手はあのジャイロだった。
事件ははっきりした。グループは、撃たれた銀行強盗を車に乗せ、銀行強盗の金を猫ばばしたが、カタワレが追いかけてきた。こわくなって、罪を全部木暮に着せようとしたのだった。
遅れてきた年賀状
年賀状が遅れて来た上、会社に行くと妙な雰囲気。自分の住所から、エロビデオが販売されていることに気がついた。郵便局に住所変更届を出すと、変更後の住所に郵便物が届けられる手口を、エロビデオを売ろうとする男が利用した物。
迷い道
宇佐見は、飽きの来た富有子を連れて、夜間、伊豆の夜道をドライブ中に豊永の車にぶつけてしまった。ところが、豊永の車には女の死体。ぶつけた弱みから死体を埋める作業をやらされる羽目となった。しかし豊永の手口に気づいた宇佐見は、逆に富有子の抹殺を頼んだ。うまい具合に豊永も富有子も事故で死んでくれたが、あの女を埋めたときに富有子が腕時計を落としていた・・・・。
密室の抜け穴
城南商事の保利が帰った後、残りは守衛二人と徹夜するという麻生だけだった。隣のビルの忍び込み男の話が話題になる。ところが突然何かが派手に割れるような音。駆けつけると麻生が、鈍器で殴られて殺されていた。保利が帰ってから、守衛のもとを通過した物はなく、ならば犯人は隣のビルから屋上に下り、非常階段を使って麻生を遅い、窓から逃げたのだろうか。符合するようにロープが発見された。
しかし時間をつきあわせると、忙しい麻生は、三十分以上テレビを見ていたことになる、送られてきたファクシミリが、そのままにされていたことなどから刑事は疑問を持つ。
あの派手な音は・・・・そうだ、テープに吹き込んだ物音を通風口から流したに違いない。かくして産業スパイらしい守衛の横山に疑いの目が向けられる。
アウト・フォーカス
新日シネマのプロデユーサーの新庄美江は、撮影に必要な機材を揃えようとするが、担当の蓮見がつっけんどんにない、との返事。警察から島根県の大沼で女性の死体があがったが、ホトケの近くに新日シネマのカメラが落ちていたという。しかし、新日ではそんな場所で撮影していない。蓮田がどうやら機材の浮き貸しをしていたらしい。そしてその蓮田が、自室でガスで殺されていた。
実はカメラマンの弟が、蓮田から機材を借りて撮影をしたが、行きがかりである女を殺してしまった、そして証拠を隠滅するために蓮田も・・・・。