文春文庫
伊豆半島の根本にある丹那カントリークラブで、駿河交通と西熱海にあるホテル社長をかねる国崎、歯科医の沼田、家具メーカー2代目社長泊辰彦がプレーしていた。霧があたりをおおっていた。ところが泊の2番ホールテイーショットが大きくフックして隣の12番ホールでプレーをしていた奥村欽造税理士の頭を直撃した。奥村は意識不明のまま70日後になくなった。
やがて話は示談に進んで行くが、被害者の息子吉幸は、3人以外の第三の人物がプレーしていたように見えた。もちろん3人も、ゴルフ場側も否定するのだが…。
丹那カントリークラブに所属する餅田翔子は一つでもトーナメントの順位を上げるように頑張っている。松任谷宏子、土居ヨリ子等は強力なライバルである。しかし一方で台湾からの出稼ぎ組も強い。週刊誌記者の櫟卓郎はかれらの取材をしているが、その中でもピカ一は丘玉霖と考えている。しかし彼女に会ったとき、彼は昔台湾に行ったとき彼女にキャデイを勤めてもらったが、その時は違う名であったように感じた。また丘の友人として柯恵蘭を紹介される。やがて櫟は彼女が出稼ぎであることを発見、二度目にあったときには、彼女は暴力団から逃げてきたところですっかり落ちぶれていた。しかも彼女は姿を消してしまう。
女子プロゴルフ界の実態を描きながら、二つの事件を並行して扱っている。女子プロが客に誘われてギャラリーとして参加、そのアドバイスに基づいて打った球が別の人間にあたり、事故を起こした場合はどうなるのか。台湾女子プロゴルファーにとって日本は絶好の稼ぎ場であり、あこがれである。しかしジャパ行さんなどと呼ばれる女性の多い時代、日本国政府は強制送還、永久入国拒否などの対抗措置を取る。しかしこのような条項に当たる女性が再度来日する場合、どうしたらよいか、そこに犯罪が発生する可能性はないか。
事件とトーナメントの話を絡めながら、大団円の日本女子プロ選手権に向かって行く。
女子プロゴルフ界の実状、ジャパ行さんの悲劇等詳しく調べられ、良く書けていると思う。しかしゴルフのプレイの記述が冗長に感じられた。最後の土居ヨリ子のケースは予測しがたいが、事件の全貌が次第次第に分かっていってしまう点、夏樹の他の作品にくらべて、すっきりしたどんでん返しがないこともものたりなく感じられた。
020806