崑崙遊撃隊          山田 正紀


角川春樹事務所

中国大陸の奥深く、ゴビ砂漠の彼方に、伝説の神の地、崑崙があるという。そこは黄河の源流で、その地を押さえることは中国支配にも繋がる。頃は昭和八年、満州国建設の余韻もまだ覚めやらぬ頃、さる筋から頼まれ、大陸浪人藤村脇は、崑崙を追い求める事になった。そこにしかいないと言われる剣歯虎を目撃したから、崑崙で生れたと称する女性李夢蘭を、友人の松本宏を阿片中毒から救うために、やむをえず殺してしまったから等。
藤村を買った森田重治、紅幇に属し、英会話を常に学び滅法力持ちのB.W.、青幇に属し、藤村を裏切った車好きの少年天竜、日本人馬賊の頭目倉田君平、いづれおとらぬ曲者そろいである。事件が起らぬわけがない。
馬二頭と無限軌道車をつかって、一行のゴビ砂漠の旅がはじまった。倉田が裏切った。駆り集めた馬賊の助けを得て、他のメンバーを押さえ、旅の主導権を握った。倉田は実は関東軍の回し者で、崑崙を中国に渡すことに反対する立場にあった。
砂漠に突然巨大蛸の化け物出現。必死の戦いが続いたが、何と倉田が命を落とし、馬賊共はちりじりになった。やがて砂漠の中に竹林。彼らは漠然と崑崙を意識した。竹林の攻撃、剣歯虎の出現、あの李夢蘭が引いていた空桑の琴しつの音色…。李夢蘭と見まがうばかりの女がいた。妹の李玉蛾である。
やがて彼らは崑崙に迎え入れられた。崑崙はこの地には珍しく季候温暖、神と一体になった平和な日々が続いたが、もちろん長くは続かなかった。後から来た日本軍が攻撃を仕掛けて来たのである。

参ったな、この作品には。妙に現実的と思えば、途端にSFの世界。作者の荒唐無稽な語り口に唖然とするばかりで、私としてはどうにも評価のしようがない。ただ一つ、小説は面白ければいい、その観点から言えば作者の新分野への果敢な挑戦と思えた。
010220