創元推理文庫
英都大学推理小説研究会が、新入部員有馬麻里亜の父の持つ南海の孤島の別荘で、ひとときを過ごすことにした。島には不思議なモアイの像が林立しており、それが示すところに時価数億のダイヤが眠ると言う。
まずCの字型の島の頂点に望楼荘、魚楽荘があり、両者の交通機関は自転車、ボート、泳いで渡るの三方法があることが紹介される。ついで、三年前に有馬礼子の恋人有馬英人が溺死したが、他殺かも知れないこと、牧原純二、須磨子夫妻が金に困っていること、有馬和人がライフル銃を所持していること、日本のゴーガンを名乗る画家平川などが紹介される。
風の強い日、二発の銃声が響き、密室で牧原須磨子と息子の完吾の折り重なった銃殺死体の発見。ライフル銃は消え、心中ではないかとも考えられる。
夜遠くに見える魚楽荘で平川の銃殺死体。側にはバラバラになったジグソーパズル。全員対岸の望楼荘にいたはずなのに・・・・。途中に落ちていたモアイの謎を解く図面。しかしダイヤを隠してあったはずの蝋燭岩の穴はもぬけの殻・・・・。
最後にすべての犯行が私であると告白する遺書と平川の日記共に、有馬和人の自殺と見られる死体。事件は一件落着と思われたが・・・・。
これを部長の江神二郎と主人公有栖が解くという趣向。実は三年前の英人殺人復讐劇なのだが、パズル的要素が絡んで面白くしている。
第一の殺人では、(1)自殺と見せるため、銃殺後、改めて被害者に銃を撃たせる(2)壁に刺さった銃弾と血の跡から、血が飛んだ跡の銃弾かそうでないかを判定する。(3)死ぬと分かった物が遺産の分配を考えて死亡順序を思い通りに見せる。などが面白い。
第二の殺人ではジグソーパズルの駒を抜いてダイイングメッセージとするところが面白い。
第三の殺人ではワープロ遺書がなんと言っても面白い。
・掛け金錠(114p)
・ダイング・メッセージと言うのは四つに分類できると思う。・・・文字、記号によるメッセージ。・・・絶体絶命の被害者が「MUM」だの「王」だの書いて死ぬケース。第二は言葉によるもので、死に際に「ホーム」と言ったの、「サムライ」と言ったのって言うケース。第三はものによるもので、被害者が角砂糖を握っていたの砂時計を握っていたのってケース。そして第四は行為によるケース(大鴉殺人事件)。(286P)
・血痕の端が弾痕の丸い穴によって欠けている・・・(331P)
・土砂崩れで一家が生き埋めになって全員死亡した。・・・深く埋まっている者から早く死んだと見なしたんだそうですよ。(362p)