新潮文庫
人によって見方は違うだろうが、この作品が岡嶋作品の中で一番面白く感じた。
私、上杉彰彦は「ブレイン・シンドローム」なるプログラムを開発した。これをイプシロン・プロジェクトなる会社が眼をつけ、同社が開発している遊戯装置「KLEIN2」に搭載することとなった。
「KLEIN2」はヴァーツアル・リアリテイシステムで、仮想現実の世界に体ごと入り込むことになる。私は作者としてアルバイト雑誌を見てきた少女、高石梨紗とともにゲーマーとして参加し、問題点を探ることとなった。
アメリカのある研究者が、アフリカ西河岸にあるモキマフ共和国に研究所を設け、人間の頭脳と肉体の完全な制御システムを完成させようとしている。それが出来ると人類にとって一大脅威となる。それを確かめに行く、というのがゲームの内容だ。
途中でえも言えぬ恐怖感に襲われるなど、なんどか失敗を繰り返しながら、存在すら秘密の研究所での実験は日を追って進んで行った。しかしある時高石梨紗が突然やめ、友人と称する真壁七美の話で、彼女が下宿にも戻っていないことを知り、不安になり始める。そしてアメリカのある病院で起こった事故が、新薬の人体実験にかかわっているらしく、今度はそれを自分たちを使ってやろうとしているのではないかと考えはじめ、真相をつかもうとする。
外部にある研究所と思ったのは地下にあった、外に出たと思ったのは実は車が駆動装置の上を走っていただけだ、高石梨紗は殺されたかもしれないなど次々と新事実を発見する。そして研究所の笹森貴美子、梶谷孝行、ケネス等との対決に追いつめられ、最後と思ったが・・・。気がつくとスタッフが私を見下ろしていた。私はいつの間にかゲームの中に入り込み、仮想空間の中をさまよっていたのだ。
現実の自分と終わりのないクラインの壺のいづれにいるのか分からなくなり、私は逃避行を試みる。
・ゲームの種類・・・(1)ロールプレイイングゲームのように、頭を働かせてパズルを解くようにゲームを達成させようと言う物(2)殺戮のゲーム(137p)
・電話代行会社(156p)
・新聞の記事を調べる・・・記事情報センター(258p)
・クラインの壺は、メビウスの輪を四次元にしたものなのよ。(271p)