講談社文庫
倒叙型のサスペンス小説。
敦子と喬二は、雪深い山奥の別荘で開かれることになったクリスマス・パーテーに出かける。参加者は彼らの他に別荘所有者の小坂夫婦、婚約者同士の賢志と朋子。しかし二人が到着すると電話線は切断され、別荘は完膚無きまでに破壊され、小坂夫婦は惨殺されていた。賢志の話によると、近くの別荘で若い男が全裸の女を殺害するところを目撃した。ところが目撃されたと知った若い男は証拠を隠滅せんと、殺人鬼と化し、小坂夫婦を惨殺し、賢志を追っているのだという。
人里からは二十キロ、とても歩ける距離ではない。近くの別荘に残っていた大場老人を訪ね、仲間に入れるも、狂った男は、ジープを縦横に駆使してせまってくる。ライフルによる懸命の防戦もむなしい。そして木を切る音、老人の車で逃げ出すも、たった一本の道は大木でふさがれる。いなくなった賢志を捜すうち、敦子ははぐれ必死の逃避行が続く。ようやく喬二と再開したとき、老人と賢志は倒れていた。
そして男の屋敷にこもっての籠城戦もガソリンを撒いて火をつけられ、危機一髪。もう玉のなくなった銃でおどして、雪の道に脱走するも、路上に死体。遅れてきた朋子の物だった。しかもそれが罠で、喬二は足を引っかけられ、ジープに引っ張られる。そしてそのジープが引っ返してきて、今度は敦子を襲う。頼みの綱は火炎瓶一発・・・・。
動機も謎もどうでも良い。とにかく読者を恐怖と興奮のるつぼにたたきこめればそれで良い、と言う作品。こういう作品は舞台を精密に設計し、その中をゲーム感覚で登場人物を動かし、それぞれの対応を考えて書くのだろうか、などと考えた。表現力は抜群で話にリアリテイがあり、楽しませてくれる。