メビウスの殺人        我孫子 武丸


講談社文庫

パソコン通信にのめり込んだ学生椎名俊夫はネット上の相手とチェスなどをして楽しんでいたが、ある相手としりとり殺人をやろう、という事になり、次々と人を殺す。相手もまた次々と・・・・。そして両者は現場に1ー2などと訳のわからぬ証拠の紙を残す・・・。
これを警視庁捜査一課の若き警部補速水恭三、見習いの鬼島麗子等がおうと言う筋立てでおう側と殺人側の双方から書く手法を取っている。
実は椎名はパソコン上の相手にだまされている事を知り、相手をすでに殺していた。自分自身は解離ヒステリー症状に陥り、一人二役を演じ、究極のゲームを楽しんでいた。

ホラーミステリーといったおもむきでゲーム感覚で読めばよいのだろう。私ははじめて推理小説を書いた作者がどう取り組んだかを発見しようと読み進めた。作者の推理小説好きが随所に現れていて楽しい。

連続殺人事件が世間に同じ犯人であると確信させるのは苦労するところだが、ここでは三目並べゲームを利用している。殺人の方法は撲殺と絞殺で単純、相手をいろいろ変え、本物らしく見せているところが面白い。単に狂人と決めることなくパソコン少年の悩みがもう少し描けていたらと思った。作品の題名は自分と相手二人と見えて実は一人という点を考えてつけたのだろう。