眠れぬ夜の殺人        岡嶋 二人


講談社文庫

町で酔っぱらいが絡んでくる、突き飛ばす、ところが腕時計などが盗まれ、翌日の新聞には突き飛ばした男の死亡記事が出る。警察にそのまま届けた場合は、何も起こらない、届けなかった場合、見知らぬ男から証拠の写真と金を請求する手紙が送られてくる。
このような事件が頻繁に起こったため、警察が動き出す。
警視庁に人に知られない特別な課があって、さらにその下請けをしている菱刈と称する男のグループがいる。探偵役は推理小説では苦しむところだが、今回はそのグループの向井聡美と相馬廉平。探偵と警察の昼間に位置するアウトローという位置づけで高度の情報収集能力に加え、無敵の力を発揮させられることが強み。書き方は倒叙法に近く、強請る側、強請られる側、捜査する側と交互に記述しながら物語を進めて、臨場感を出している。
やがて事件は、被害者を死亡させ、加害者から後に金を強請るために仕掛けた物と分かる。しかし被害者が被害に遭う1日か2日前にいなくなっていることから、実は加害者に因縁を付け、殺されたように見せ掛け、あわてた隙を見て、直前に殺した被害者の死体と入れ替わる、というトリックは非常におもしろい。また犯人は、被害者に年格好の似た物、被害者と行方不明者が一致しない場合は、実は犯人が事故に遭ったのだ、と演繹するところも面白い。
脅迫状によるロッカーを指定、使い走りによる受け取った現金のふりこみなど、金が真犯人に届くためには二重三重の障壁を乗り越えなければならない。捜索は、聡美が中心になって行う。事故を起こして相手の車に盗聴器を仕掛ける、発煙筒をたきそのすきにフィルムを盗み出す、空砲を撃って人を殺したように見せ掛ける、襲ったり、襲われたりでスリル満点である。わずかな敵の動きから、ボスと称する謎の男は、仲間の中に隠れていると考えるところもうならせる。そして最後は美女の聡美が捕らえられ、危機一髪・・・。
・捜査本部の開設(25p)
・イメージは大切ですよ。でも、そのイメージを作り上げる最大の物は、品揃えなんです。アメヤ横町、けっこうじゃないですか。バーゲンの特売場ですか?それこそ望むところですね。ゆとりなんかじゃありません。・・・・売場に必要な物は、商品と群集まっているお客様ですよ。お客様の群れているところに、人は集まるんです。(49p)