光文社時代小説文庫
時代小説としての捕物帳ではなく、推理小説としての捕物帳を書こうとした、とのことだがこの巻を見る限り、次のように感じた。
(1)話しの組み立ては半七捕物帳に比べると簡単。
(2)事件を解くプロセスも省略が目立つ。
(3)時代描写は、工夫されている。ただ半七捕物帖と視点は少し違うようだ。
(4)ただ主題がはっきりしているために、わかりやすい。
主人公は砂絵のセンセーとマメゾーだが、半七捕物長と違うところはこちらはあくまでアマチュア探偵と言った位置づけである点だ。
雪うさぎ・・・・・あてがった女に妻が夢中
加賀屋には時々幽霊が出た。おかみさんがだんなさんと別にはなれに住むようになった。雪の日おかみさんが殺され、側には雪うさぎ。そして女中のお弓の自殺。実はだんなが不能になり、お弓におかみさんの面倒を見させたが二人はレズの中に・・。ある晩はなれにおかみさんを訪問した亭主は雪ウサギを見て興奮、せまったが果たせず殺してしまった。
地ぐち悪口あいた口・・・・駆け落ちしたい娘の演技
呉服商浅香屋の亭主の地ぐち行燈が、いつのまにかかえられ、娘のお春のしどけない絵に「お春どの、それはどなたの子でござる」。実は好きな男ができ、親の決めた縁談に行きたくない娘が考えた窮余の一策。
大目小目
履き物問屋の長男はいなくなってから五日目、若い女の衣装、島田をかぶったいでたちで、大川で死体となって上がった。由良様のお屋敷で、大目小目のご開帳、その長男は負けて騒いで殿様に殺されたのだが・・・・。お側にいた佐久間という男がこの際、由良様の家を乗っ取ろうと死体が発見されるようにして、大川に流したものだった。
いもり酒・・・・・蛇合戦
井筒屋の大黒柱番頭の藤兵衛は土蔵の前で蝮に噛まれて死んでいた。だんなのイロが蛇使いのお新という男好きの女、そいつが犯人と若旦那は騒ぐが・・・・。しかし、お新はそんな悪党ではなく、事件は単なる事故でした。
はてなの茶碗・・・・あなたの娘と認めて・・・
弁慶橋の麦湯の店から茶碗が一日一個なくなり、住吉屋卯兵衛の枕元に。そしてその卯兵衛が殺される。実は麦湯の娘が大店の若旦那にほれたが、筋が悪い。しかし本当は「私は住吉屋が女中に産ませた子、住吉屋の娘となれば・・・・。」と猿の仙蔵に頼んだ話。ただし住吉屋を殺したのはお家乗っ取りをねらう番頭。
けだもの横町
村田屋と上州屋はともに立派に暖簾をはる酒屋。その村田屋の主人が狐つきの多吉に刺されて死んだ。実は村田屋の亭主はかって上州屋の女房と駆け落ちした男。多吉はその子。多吉は自分の命が長くないことを知っており、病身の女房がいた。最後に自分の女房に金を作る目的で村田屋を殺した。最後に探偵役のセンセーが上州屋に乗り込み、女房のために金を取ってやるところがいい。
楽屋新道・・・・スターが殺される、で金を取る。
「俳優の河原崎権十郎(山崎屋)の命がねらわれている。助けたかったら三両だせ。」といったたぐいの手紙がファンに次々に届いた。そして山崎屋の付き人巳之助が素っ裸で絞め殺されて見つかった。実は巳之助が悪である女が復讐を考え、売れない狂言作者がシナリオを作った。次は山崎屋と思わせるところが味噌で、金を取った男はまた別に・・・。