鬼面村の殺人         折原 一


光文社文庫

 過去の作品を下敷きにして、かつオリジナリテイを出すならこんな風に・・・、と推薦したくなるような作品。根本は横溝正史「悪魔が来たりて笛を吹く」、刑事と女の子が旅行で出会い、お色気たっぷりの場面を現出しながら事件を解決したり、村全体でトリックをしかける発想は赤川次郎「幽霊列車」など、合掌作りの家が消失するトリックは独自だが、鏡の可能性を考えるところはデイクスン・カーの「三つの棺」等々。しかし大消失トリック、密室殺人、ダイイングメッセージ、二度三度のドンデン返しとたまらない魅力がいっぱい。
 黒星警部は、白川郷旅行中、フリーライターの葉山虹子と出会い、山奥の鬼面村に。
 村は村長の重森一郎を中心に、一度出て財をなして帰ってきた弟の二郎、大マジシアンセイキマオー等を中心に村おこしの最中。「夢のまぼろし座」を呼び「悪魔が来たりてホラをふく」を公演準備中。しかし「あいつを殺してやる!」ののろいと共に、昔聾唖の娘美紀を生んで死んだ内ヶ島ミネ子が帰ってきたらしい。
 二人が到着すると、早速酒宴の内に向かいの合掌づくりの家屋の消失事件、森の奥のガラス張り密室温室にセイキマオーの死体を見つけたと思ったら消失、二郎の死などさまざまの事件が起きる。問題の消失事件はセットの家の二階から、合掌づくりの家を見せ、気を失わせ、二人を合掌づくりの家に移す、気がついたときにはセットがなくなっているから合掌づくりの家が消失したように見えるというトリックである。また密室温室殺人事件は死体を用意してから温室を作るという大トリックを用いている。
 最後に黒星が、この事件はSMプレイに関係があったと犯人を指摘すれば、村長が死んだ人間まで生き返らせて、これすべて芝居、と逃げをうち大団円。ところが帰り道ふと気がついて黒星が、村では大麻を栽培していたと大発見、と二転三転するところが面白い。

・家屋の消失
(1)同じ家が三つあり、家AからBを見させた後、Cに移す。(145P)
(2)鏡を利用して向かいの家があるように見せる。(283P)
(3)本件(304P)
・ダイイングメッセージ鎌・・・オカマ
・劇の中に本物の死体(324P)

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