角川文庫
大正10−15年、作者が20−25才の作品集。
恐ろしき四月馬鹿
著者処女作。中学校の寄宿舎で発見された殺人の痕跡。しかし死体があるわけではなく被害者は行方不明。被害者は私との約束では出てくるはずだったが、現れない。騙したのか、騙されたのか。
深紅の秘密
ドイツに遊学したおり買い求めた5冊揃いの化学関係の書籍。表紙は黄、緑、紫のものがそれぞれ1冊づつ、そして赤が2冊。そのうちの3冊が盗まれた。赤緑色盲の泥棒を扱った作品。ドイツ人秘密探偵がザーメン・ラーゲとはふざけている。
画家の犯罪
刑事の従兄につれられて、私は始めて殺人現場をみた。アトリエで殺されていたのは画家安田恭介。私は、そこに散っている血が鶏のものであると見抜き、さらに地代の通い帳の中に隠された遺書まで見つけて、自殺と推理した。しかし画家が自殺を試み、失敗したところに殺人者が現れていたのだとしたら…。
丘の三軒家
丘の上にある三軒家を舞台とした復讐奇談。一方の入口を塞いで、おいて火事だと叫ぶ、住人はあわてて飛び出し、井戸に墜ちて死んでしまった。普通なら、井戸に気づくはずだが、鳥目だとすると…。
キャン・シャック酒場
腹が立ったら、何でも壊していい、そんな酒場があったらなあ!
広告人形
へっぽこ画工の大海源六は、広告人形の中に入って町中を歩き、人々の生活をのぞき見ていた。ところがある日彼が配った「おれが犯人だ!」というチラシが災厄をもたらすことになった。
裏切る時計
飽きの来た女を殺してしまった私は、時計を少し傾け、9時15分ころに止まるようにし、9時列車に乗り逃亡、犯行時刻を偽ることによりアリバイを作ろうとした。ところが別の理由で時計が止まってしまったのだ。
災難
妹の友達のおしんちゃんが大阪に出てくると言うので、約束の時刻に出掛け、それらしい女性を見つけるが、これが赤の他人でしかも新聞記者。誘拐団の一味のように記事に書かれてしまう。それにしても本当のおしんちゃんはどうしたのだろう。旧暦から新暦に切り替わったおりの混乱を描いた作品。
赤屋敷の記録
男はかって今は廃墟となった赤屋敷に住んでいた。かって屋敷から自分の父雨二郎が失踪し、叔父の品太郎が殺したのではないかとの噂が流れた。しかし真実は…?レプラ患者の絶望を扱った作品。最後にもう一ひねり利かせてある。
悲しき郵便屋
略
飾り窓の中の恋人
何でも屋を自称する田丸素人が下総屋の人形に恋した。近頃売り出されたあの「飾り窓の中の恋人」みたいだ。私は多いにからかったが、田丸のねらいは別にあった。
犯罪を猟る男
略
執念
ばあさんの残した金を求めて養子の耕右衛門とお作が対立しながら宝探し。「厩の北のすみに天井から下がっているひもをひっぱれ。」の書き付けに踊らされたお作が死ぬ。お札の隠し場所が蝋燭の芯というところが面白い。
断髪旅行
略
020401