講談社ハードカバー
4人のおばさんは東京都下の労働条件のきつい弁当工場で夜間働いており、それぞれ個人的な悩みを持っている。この人物造詣が非常にうまい。
城之内邦子 33歳。派手好き。軽薄。夫の哲也が出て行き、ローンに追われている。ゴルフに乗る。
香取雅子 43歳。気が強くしっかりしている。さえないサラリーマンの夫良樹、心の通わぬ息子伸樹と3人暮らし。古いカローラに乗る。4人の中のリーダー格
吾妻ヨシエ 50半ば過ぎ。頼まれてNOといえない。寝たきりの意地の悪い姑と一緒、何年か分かれていた娘和恵が男に捨てられ、赤ん坊を連れて戻り、置いて出ていってしまう。4人の中でいちば長老、師匠と呼ばれる。娘の美紀に短大くらいは行かせたい。金に困っている。
山本弥生 34歳 亭主は金を稼がず、バカラに打ち込み、家を買うつもりで貯めてあった500万を使ってしまった。子供が二人いる。
山本弥生が亭主に暴力を振るわれ、絞め殺し、香取雅子に相談した。彼女は他の二人と共同で自宅風呂場で死体を切断、ばらばらにして捨てるが、烏が発見。警察は捜査を開始した。しかし警察はバカラ賭博を開帳していた佐竹を逮捕、締め上げるが証拠が出ず釈放、商売がだめになった佐竹は見えぬ犯人に復讐を誓う。調査の結果4人の犯行と知り、邦子を殺してしまう。
一方、サラ金の十文字も証拠をつかむが、彼は都合の悪い死体を集めて、金に困っている彼女たちに処理させるビジネスを考案、まずは老人を一人処理した。ところが依頼された次の死体は邦子。おばさんたちは誰かが自分たちをねらっていることに気づき恐れる。
最後は佐竹が雅子を捕らえ、いたぶりながら殺そうとするが・・・・。
結局4人はそれぞれの現状からの脱出を試みるが
城之内邦子 殺される。
香取雅子 弥生におりた保険金も佐竹経由で獲得、一人国外脱出
吾妻ヨシエ 自宅に放火し姑とおきざりにされた孫を殺したらしい
山本弥生 保険金も奪われ、すってんてん
あれよあれよという間のスピーデイな展開といえば響きはいいが、展開にはかなり無理がある。警察はそんなに馬鹿か、女たちが簡単にバラバラ作業を弁当感覚でよく引き受けたものだ、外国にゆけば警察から逃れられるのか等々。しかし一方でこういう活劇のようなストーリーが好まれる世の中なのか、と思ったりもする。
・そのころは、まさか自分たちにこんな未来が待っているとは想像もできなかった。手に入れられない女に心奪われた馬鹿な夫と、その男を憎む妻と、深い川を隔てた彼岸と此岸に別れてしまうとは思いも寄らなかった。(50p)
・客の前では日本語がまだあまりできない振りをすること、黙っていた方が日本の男達は控えめだと喜ぶ。しかし、積極的に筆談をすること。漢字を正確にうまく書けば達筆だと感心される。・・・・客のは学校にかよっていて、小遣いのためにホステスのアルバイトしている、自分はあくまで学生なのだと主張すること。・・・・忘れてならないのは、上海ではお嬢さん育ちだったとさりげなく主張すること・・・(211p)
・衝動的に殺人を犯した女は、真っ先に死体の始末に困る。なぜなら非力で一人では運べないからだ。そのためやむなくバラバラにすることが多い。(228p)
・ラブ&ポップ(村上龍)(273p)
・男達は自分の時間を勝手気侭に使い、あたかもそこが定点のように、夕食だけはあることを信じて家路に就く。・・・(女たちには)互いの結びつきがすでに希薄になっているのに役割だけが重くのしかかっている(277p)