オヨヨ島の冒険        小林 信彦


角川文庫

 この作品は、昭和45年頃子供向き推理小説として出版され、大ヒットした作品である。昔、読んだことがあるが、文体、構成等に学ぶべきものがあると考え、読み直してみた。「あたしって、すごく、不幸な星の下に生まれたんじゃないかと思う。」という書き出しで始まるこの作品の主人公は、小学校五年生のいたずら好きな大沢ルミ、ギャグがそれなりにさえる。解説によれば、作者は<ジェームズ・ボンドものみたいなので、子供が主人公に出来たらいいんだがなあ。>と考えて書いた、というが、その考えがあてはまる作品。

 主人公ルミが、冬休み近いある日、ニコライ、ニコラスと名乗るおかしな二人組に誘拐されかかるが、危うく難を逃れる。ところがその翌日、我が家のヒゲゴジラことパパが誘拐された。私は、私を逃したことでお仕置きを受け、殺されかかっていたニコライ、ニコラスを助け、為五郎おじさんと一緒に、瀬戸内海の無人島で隠遁生活をしている源之進おじいさんに助力を請いに行く。ところがおじいさんの家が、何者かに爆破され、私とおじいさんは突然現れたルドルフオカマ船長の潜水艦にさらわれる。そして南の島に連れて行かれる途中、彼らが、オヨヨ大統領を中心とする海賊団で、為五郎おじさんがその手先だったと知る。

 大統領の狙いは、おじいさんだった。おじいさんは戦争末期、あとはねじ釘一本で原子爆弾完成というところまで研究を進めていた。大統領は、そのねじ釘を作ってほしいと言うのだ。原子爆弾を武器に世界のトップを呼び寄せ、殺して、そっくりさんと入れ替え、世界を思うままに操りたい・・・・・。

 もちろん最後は、島が爆発し、ルミたちはお父さん、おじいさんを連れてヘリコプターで島を脱出という筋書き・・・・・。

 面白いが、今の視点からみると、実に健全な冒険談に見える。現在なら、これにタマゴッチみたいな話を入れるのだろうか、とんでもない超人でも飛び出させるのだろうか、某国の援助でも考えるのだろうか、恋でも絡ませるのだろうか、書き直すという視点で、見つめるのも良い。

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