ライン 乃南 アサ


講談社文庫

浪人生の小田切薫はパソコン通信チャットではKAHORUなる女性ハンドネームで人気の的。しかしKAHORUにネット上で恋し、本当に会いに来たと思われる男が次々と殺される。一方KAHORUに対してはネット上で「おまえの犯罪は明らかだ。」という脅迫状が頻繁に舞い込む。ところが苦労して解読し、相手を突き止めてみると女友達のまことちゃん。彼女は状況から薫の犯行と決めていたのだ。
二人の真犯人追跡が始まる。偽のチャットを流し、犯人に傍受させ、KAHORUにあうような不利をしてで掛けると男が「従弟だが、KAHORUのことずけを持ってきた。」と声をかけてくる。こいつが犯人と捕まえるとなんと親友の岡本。妹がパソコン通信で知り合った男にだまされたことから同類の男をねらっていたのだった。

パソコン通信の匿名性をねらった犯罪で男が女になり、女が男になって通信しあうところが漫画的面白さがある。1990年に書かれた。いまはインターネット全盛の時代となり、技術は格段の進歩、しかし不心得なものはなくならないようで同種の犯罪が盛んという。時代を先取りして書かれた作品といえよう。

・メッセージを送った直後に一度チャットルームから抜け出して、ふたたびそのチャットルームに引き返すという面倒な事をしなければならない。(144P)
・仕入れてきたウイスキーとつまみを堤げながら、山中は、家の匂いというものを感じていた。(245P)