螺旋館の殺人      折原 一


講談社文庫

 ミステリー講座を主催している老作家田宮が、十年ぶりに世間をあっといわせる新作を書こうと山小屋に閉じこもる。その私の元に、作歌志望の美貌の女性白河レイ子が、書き上げたばかりの作品を持って現れる。彼女に元気付けられて私は、自作「螺旋館の殺人」を完成させ、月間推理社の沢本記者に渡すが、彼は、東京に戻る列車の中で、近づいて来た女性に原稿を奪われてしまう。
 月間推理新人賞を鈴田美也子が「サーキュラー荘の謎」で受ける頃、私が書き直した「螺旋館の殺人」が完成するが二つは同じ物、盗作を疑われた鈴田こと白河は、自室浴槽で死体となって見つかった。
次作品を執筆中の私の元に、山で迷った男大久保が、漂着し、居着いてしまう。ところがその男の作った新作は、私の白河殺人劇そのもの。私は、賞金をよこせと主張する大久保を雪の崖から突き落とそうと罠をはるが、逆に突き落とされてしまう。大久保が山小屋に行き、家捜しするうち、秘密の螺旋階段を見つけ下りてゆくと・・・。
 静養していた田宮が戻り、地下室を調べると大久保と沢本の死体・・・。実は田宮は、出版社を首になり、小説家になろうと考えていた沢本に留守を任せて、別の場所に行っていたのだった。したがってこの原稿の最初の私は田宮、後半は沢本・・・・。二人の死体を見て、私(田宮)は、彼らの作品をあわせて、新しい作品「盗作のロンド」を書こうと乾杯する。

 以上が概要だが、徹底的に読者をだます事をねらった作品。エピローグではさらにこの作品が実は田宮の自費出版作品だ、などという話しも飛び出している。非常に凝っている作品であるが、凝り過ぎの傾向もあるように思う。エピローグ部分にまでいくと、もはや、お遊びと言う感じがする。

・マリー・セレステ号事件(292p)

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