らせん 鈴木 光司

 
角川ホラー文庫


リングの続きという形で作られている。
愛児が海で溺れ、安藤医師は今まさに離婚しようとしていた。その安藤が突然死した友人高山竜司を行政解剖するが、左冠動脈の閉塞による心筋梗塞で、頸部に妙な肉腫が見られた。竜司の恋人だった高野舞は、安藤に「死後、アサカワなる男が連絡してきてビデオのことを尋ねた。」という。安藤は「高山が、箱根のキャビンの秘密等を解き、あのビデオの秘密を解き、成果を暗号化し、その内容をまさに出版しようとしていた。」事を知る。一方で安藤は舞に淡い恋心を抱くが、彼女が失踪する。舞の話から、あの山中貞子の念の込められたビデオを高山と舞が見たのでは無いかと危惧する。
そして舞の死体が発見される。高山と舞の肉片から新種のリングウイルスなるものが発見されるが、なぜか舞のものは切れていた。安藤に舞の姉らしい不思議な女が接近し、二人は関係するが、彼女があの山中貞子と同じと知って愕然とする。
すべては置き手紙で明らかになった。貞子の遺伝子を持つリングウイルスが、高野舞の体に宿り、人間として再生されたのが不思議な女の正体なのだ。貞子はもう一方で、高山竜司の出版物を通じて再生しようとしていた。放置すれば、貞子の遺伝子をもつ新種の人類が誕生し、しかもそれは両性具有だから、次第に増殖を始め地球を支配するに至る・・・・。
しかし抵抗の手だてのない安藤は、彼女の考えを受け入れ、愛児を貞子に再生してもらう。貞子はさらに高山も再生する・・・・・。

遺伝子をもつリングウイルスが女性の胎内に宿っただけで、昔の人間が再生され、しかもそれが竹の子みたいに二十日くらいで死ぬ直前の姿に戻るなど、荒唐無稽も良いところだが、それなりのおどろおどろしさが感じられ、読者を引きつける。またこの作品はリングの五年くらい後に書かれているが、作者は、前の作品の念の力に少しでも科学性を持たせようと苦労したものと思われ、その成果が作品なのだろう。私はアイデアの成長を見るという観点からも興味が湧いた。