リング            鈴木 光司


角川ホラー文庫

箱根のあるキャビンに泊まった男女4人が、ある時突然苦しみだし、死んでしまう。原因は、不明で心筋梗塞などで処理される。疑問に思った雑誌記者浅川は友人でワルの関川と調査に向かい、何とも奇妙なテープを発見。まっ赤な流体、三原山の噴火、二個のサイコロ、婆の言葉、赤ん坊の顔、破壊された男の顔、大群衆と「嘘つき」などのやじ、山あるいは貞などの字がうかぶそのテープをみていると何とも言えず気持ちが悪くなるから不思議である。そして彼はビデオの中に黒い画面が何度も挿入されているのを発見し、それが瞼の瞬きを撮しだした物であることに気づく。
そして念力、オカルトなどを研究している機関を訪れ、山中貞子なる女性が念の力によって作り出した事を発見。内容は彼女の生前の奇跡を表していたのだ。彼女を追跡する内、彼女が、念の力が極度に強い、半陰陽人間で、ある男に犯され、あのキャビンのあったところにある古井戸に投げ込まれて殺されたことを知る。骨を拾いだし、これで彼女の怨念は解けたと思ったら関川が死んでしまった。
関川に害が及び、自分が助かったのはなぜか、を考えた浅川は彼だけがあのテープをコピーしたことに気がつく。そうだ、あのテープは増殖させてくれた者には害を与えないが、何もしなかった者は取り殺す念がとりついているのだ。

ホラー小説らしく何とも奇妙な筋立てだが、それなりに面白さと気持ちの悪さが出ている。作者の発想の一つに悪は増殖する、増殖する者のみの存在を許す、と言った概念があったように感じられた。

・男性仮性半陰陽のひとつである睾丸性女性化症候群は、外見的には完全に女性のからだで、乳房、外陰部、膣は持っていても子宮のない場合が多い。性染色体はXYで男性型、そして、なぜかこの症候群の人間は美人ぞろいなのである。(255P)