講談社文庫
岡嶋二人の推理小説はプロットが絶妙で、文章がわかりやすくて好きだ。非常にすっきりした娯楽作品だが、反面なにか個人の感情、離島の医療問題等について、つっこみが不足している感じがないでもない。
結婚式を控えシドニーから帰国した里見は、婚約者の彩子が沖縄に旅行中盲腸炎になり、石富島なる島の病院に入院したと聞き急ぎ駆けつける。
ところが、彩子は二日間の記憶を失っており、珊瑚館なる旅館に知らぬ男と泊まっていたらしい。妻を信じるかいなかで揺れる中、里見の捜査が続く。彩子は乃里子と宇留間島にいる医師の蓮田をたずねたらしいのだが、そうとすると石富島で倒れた時間との整合がとれない。しかも同行の女友達蓮田乃里子は行方不明。
宇留間島を尋ねると、そこはわずか人口三十人程度の小さな島。独自の社会を作り、医師問題に悩んでいたがようやく蓮田に来てもらったという状態。熱心な歓迎を受けるが、蓮田等は彩子と乃里子の訪問を否定。しかも何かしら警戒の目を感じ、さらに別の若い女性川路瑠璃に対しては島は彼女を帰さないようにしているふりすら見えた。
一方で里見は、人気歌手棚原渉のビデオクリップが宇留間島で撮られたこと、ベースギターをやっている辻比呂彦が暴力団石黒組の金を持ち逃げしていたことを突き止める。そして決定的証拠は、那覇で開かれたライブコンサートで辻が別の人間に変わっていたこと、宇留間島で乃里子の金のブレスレットを発見したこと・・・・。
実はビデオクリップを撮る際に、石黒組から派遣された暴力団員が辻を追いかけてきた。そこで争いとなり、暴力団員が死亡、乃里子が重傷をおったが、彼女はRh(ー)であったために川路の恋人辻から輸血を受け一命をとりとめた。しかし辻は死んでしまった。対策をねった村は、彩子の宇留間での記憶を消してしまおうと考え、盲腸と言うことにして石富島の病院に入院手術させたものだった。もちろん石富島の医師も仲間の一員・・・・。