新潮文庫
「しあわせの書」は宗教法人惟霊講会から出版され、著者は創立者桂葉華聖である。同会は有力新興宗教団体で信者も多いが、後継者問題でゆれている。
恐山でイタコの真似をし、惟霊講会の美鳥那那の霊をおろしたヨギガンジーは不動丸、美保子と再会。不思議なしあわせの書と出会い、華聖のもつ本の最初の単語を当てる透視能力の話、惟霊講会で最近死んだはずの何人かが華聖によって復活した話等を聞き、興味をもち、密かに本部に潜入する。発見されてしまうがガンジーは、華聖にその超能力を認められ、後継者決定のための断食レース審判を依頼される。
出席者は候補で一度は死に復活したという霊能力の高い胡泉瑠璃子、教祖の親戚の清林寺忠成、候補ではないが志願したという美鳥那那、六郷藍子、これに海尻五郎、小豊田信江、鷹狩勝道、力井福之助、いづれも一度惟霊講会を脱会し、日一天会という新組織会員ということになっている。それに不動丸、美保子等。若狭の山奥の一軒家に泊まり込む。
三七、二十一日間の経過と共に胡泉瑠璃子、海尻五郎のみが元気で、後はみな衰弱して行く。ことに一方の候補清林寺忠成氏の衰弱激しく、後継者は胡泉瑠璃子に決まり、と見えた。しかし三人組は隠されたしあわせの書の包みを発見、それが終わりのころ半分近くに減っていることに気づく。そして判定の日ヨギ・ガンジーは「後継者第一人者は清林寺忠成氏である。胡泉瑠璃子氏は選ばれる資格がない。断食の目的はわれわれ全員を餓死させることにある。」と主張する。
どうしてそういう事になるのか、泡坂マジックの面白いところだから、種は明かさない。(1987)
000122