講談社文庫
作家はいつも何かマンネリを打破して新しいものを作りだそうとし、そういう努力が運良くいままでにない傑作というものを生み出すことがあるのだと思う。巻末の解説によれば、スランプに陥っていた江戸川乱歩はシャーロックホームズにあるベーカー街遊撃隊とアルセーヌルパンからヒントを得て、あの怪人二十面相を作り出したのだという。いまこれにヒントを得て太田忠司は新宿少年探偵団を作り出したということだ。推理小説の枠ははずれているが、面白いという観点からはなかなかの作品である。
夜の新宿西口ではΘ(シータ)と呼ばれる謎の物体による猟奇殺人が次々に行われていた。聖賢学園の夢野美香は歌舞伎町にあるシータ・プロダクションに誘われるが、心配になり七月響子、羽柴壮介、神崎謙太郎を連れてゆく。ところがそこはΘをあやつる髑髏王の根城。危うく襲われて骸骨の標本にされかかるが謎の人物が現れて救われる。
助けた男蘇芳の話によると、芦屋能満は現代科学の証明し得ない「もう一つの科学」を研究し、多くの独自の技術を開発したが、道半ばで亡くなってしまった。遺言により、その弟子たちはいま新宿のあちこちに散在し、その技術を誇示しようと競っている。髑髏王もその一人だが、彼は骸骨の収集が趣味であのようなことをしているのだという。
蘇芳とその弟子ジャンポールに薦められ、少年たちは「新宿少年団」を結成、髑髏王と対決する・・・・・。
現代版らしく反重力だの、パソコンだの、音声認識による携帯電話だの目新しい技術?を登場させていること、登場人物の感覚が現代的であることが作品を面白くしている。