湿地帯             清水 一行


角川文庫

大同銀行秘書室副部長の三浦は同行の政界担当実務を任されることとなった。
厚かましさと押しの強さで定評のある保守党ベテラン代議士の秘書ナベヤスからが押し掛けてきた。どうせまた無心の話とタカをくくっていたがとんでもない内容。
「池袋支店が、リリー若生なるハーフの経営するエアロビクス会社に無担保で十億以上の金を融資しているが、それが焦げ付いている。無茶な融資をしたのは岡之上相談役がOKしたからだが、実はリリー若生は相談役のイロと言うことだ。そしてそれを新聞記者の石野が嗅ぎつけ記事にしようとしている。この記事をもみ消してやるから金を出せ。」
要求額は、ナベヤスの報酬三百万、石野にゴルフ場の会員権を買うと言うことで六百万あまり。三浦は上司の許可を得た上、この金を支払うが、詐欺だった。ナベヤスは、サラ金地獄に陥っており、渡した金はそれらの返済に使われてしまった。怒った三浦はついにナベヤスを探し出し、殴り倒して・・・・・。

巻末解説で武蔵野次郎が「なぜ清水作品が面白いか。」について言及し、綿密詳細な地の文と会話体を交えたストーリー展開をあげている。この書では、政治献金の実状、三浦のサラリーマンとしての苦しさ、やるせなさと言ったものが上手に描かれており、参考になった。
・グリーンカード問題(224P)
・ナベヤスは逃げたと神谷は考えているらしかったが、三浦は簡単に逃げるナベヤスではないと思った。もし逃げるつもりだったら、サラ金の菊池京子に七百万円も返すはずはないのである。(343P)