中公文庫
名門女子校天川学園の百周年記念式典に、高等部演劇部ではアガサ・クリステイの「そして誰もいなくなった。」を上演することにした。アームストロング医師役の球磨光代が怪我で、英語教師で仕掛け人の向坂典子が代演することになった。そして、当日孤島に集まった10人は有名な犯罪告発アナウンスを聞いたあと、マーストン役の西田エリカが「乾杯!」とグラスを飲み干し、本当に倒れてしまった。青酸中毒死であった。
ついで自宅近くの公園で、睡眠薬を飲んで死んでいるロジャース夫人役の松木晴美が発見された。佐久間みさが自宅近くの雑木林で撲殺死体で発見された。彼女はマカーサー退役将軍やくだった。川合利恵が偽電話で呼び出されて、部室に赴き、斧で頭を二つに割られて死んだ。彼女はロジャース役だった。4人が亡くなったが、不思議と「そして誰もいなくなった。」の殺される順に従っていた。
捜査には皆川警部と加古滋彦があたるが、その加古を警部の娘夕美が慕うようになる。夕美と父の対立が次第に明らかになる。向坂典子をさえない数学教師高城が訪ね、事件がクリステイの小説どおりに進んでいると主張する。被害者宅に死んだ生徒の罪状を告発するファックスが届く。そんな中北海道に旅立とうとしていた浅岡和子が、蜜蜂にでも刺されたように首に青酸カリを射たれて殺された。彼女はエミリー・ブレント役で5番目に殺される予定だった!
と、ここまでくれば私は犯人は江島小雪に違いない、と思った。彼女はウオーグレイヴ元判事役で原作の犯人。ところがここから話がよれてしまう。
警察は和子殺害の現場にあったラークの吸い殻に目をつけ、血液型も一致したことから高城を疑う。一方、江島小雪か向坂典子に犯人が分かったとつげ、二人で証拠をとってやろうと、持ち掛ける。河口湖の別荘で待ち伏せると松木憲一郎がやってきた。向坂が松木に「犯人はあなただ。1億円用意しろ。」と詰め寄る。物陰で江島小雪が録音テープを回し、猟銃に手をかけて息をこらす・。しかし江島は向坂が松木の隠れた愛人であることを知らなかった。
最後はいろいろドタバタがあって、タイトルこそクリステイ作品から取ったたようになっているが内容は大分異なり、タイトルの「そして誰もいなくなる」もどこか霞んでしまう。学園祭で「そして誰もいなくなった。」を上演し、そのシナリオ通りに殺人が起こって行く、と言うアイデアは面白いがちょっと息切れしてしまったようだ。文章、話の進め方も今一歩、という感じもぬぐえない。
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