そして扉が閉ざされた     岡嶋 二人


講談社文庫

別荘で友人の男女4人と過ごしていた、富豪の若き娘咲子とその車赤いアルファロメオが海中から引き上げられた。事故として処理されたが、その3ヶ月後、男女4人は咲子の母雅代に呼び出され、眠り薬を飲まされ、気がついたときには地下シェルターに閉じこめられていた。そしてトイレには赤いペンキで「お前たちが殺した。」の文字。
四人は、死にものぐるいの脱出を試みるが成功しない。一時は咲子を愛していたがそのペット扱いに嫌気がさした雄一、そして正志と婚約しながら、雄一に引かれる鮎子、常にもてず影の役に甘んじている千鶴。そのうちに彼らの間から、そもそもあの事故の真相はどうだったのかという疑問がわき起こった。
座席シートの位置がずれている、崖上に人の乗っていないアルファロメオが止まっていたのを目撃した者がいる、シェルター内で発見されたアイスピック、イヤリング血の付いたタオルは一体何を意味するのか。アルファロメオと行き違いに帰ってきた雄一がつけていた赤いシミは血だったのか、主張のようにタバスコだったのか。疑問が次々と提示される。
そして雄一は「犯人は正志だ。彼はシェルター内で殺し、車で運んだあと、死体を海中に落とし、アルファロメオを氷で固定し、アリバイ作りをはかったと主張する。しかし正志は死体処理は行ったが殺してはいないという。やがて雄一は咲子が雄一に突き飛ばされたときに、延髄部分が咲子自身が用意したアイスピックにささって死亡、鮎子と千鶴が罪を雄一に着せないために死体をシェルターに運んだと見破る。
ホラー的要素に加えて、犯人は4人のうちの一人、しかし一方でだれも犯人であり得ないという謎に本格的に取り組んでいる作品。クリスマス・イヴに続いて読んだが、こちらの方が数とう面白かった。氷をストッパー変わりに使うと言うアイデアも素晴らしい。