探偵物語 小鷹 信光


幻冬社文庫

工藤俊作、女好きの独身のやたらに腕っ節の強い私立探偵の物語。
威圧的な電話の声で起された。戸部産業の総務課長永谷という男で、「いなくなった十七歳の女子高生を一人四日間の期限付きで探してほしい。」娘は戸部三郎の先妻の娘で宮坂玲子、母親の宮坂則子は所沢近くにある沢村病院の住み込みの看護婦をやっている。玲子は則子と住んでいたが、戸部と時折あっていたようだ。戸部の今の妻は真知子で昔の知りあいだ。戸部とは旨く言っておらず娘の京子のことをしきりに心配している。
おれを目の仇にしている同業者の中川次郎と、昔のサンフランシスコで一緒に訓練を受けた刑事仲間黒崎義人が事件に首を突っ込んできた。奴等の依頼人が誰かは分からない。。おれは中川から独立した実直一筋の小西を雇った。正体不明の連中がしきりにおれたちを襲う。永谷の部下なのか、それとも小西の手先か?
玲子は知美のところに行くとの書き置きを残し、ぬいぐるみの熊と共に消えていた。ようやく知美が廃品回収業者の荒井清次郎の娘と分かるが、知美が誘拐されたとの報。犯人側は5000万円の身代金を要求してきた。狂言誘拐かも知れぬ、とおれは主張するが戸部は身代金を払うから娘を取り戻せ、と主張。犯人の指定した新宿三光町のビルのごみ置き場で奴等に金を引き渡す。
奴等の複雑な受け渡し手口をかいくぐって彼らを追跡、ついに玲子が荒井のもとにいることをかぎつけ、押しかけるが何者かに知美も荒井も彼が買っていた二匹のドーベルマンも射殺されていた。ところがひょっこり玲子が戻ってきた。
しかし小西が熊のぬいぐるみの中から見つけた手帳が問題になった。戸部はいくらでも払うから返せという。永谷もこれを玲子以上に狙っているらしい。黒埼も関心があるようだ。
戸部は大物代議士古屋を地元で支えている。どうせその選挙資金作りのためにやった土地転がしの資料か何かだろう。しかし、おれは返すことにした。おれには荒井殺しの犯人は目星がついていた。あれはプロの殺しの手口だ。戸部が何者かに刺し殺された・・・・・

強い探偵が事件を掘り下げて行くと、そこには家庭内のどろどろした問題が次第に現れて来る・・・・・。何となくロス・マクドナルドの「ウイチャリー家の女」などを思い起こさせる作品である。
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