光文社文庫
川鵜の見物をしている幸せな親子の目の前に、バラバラ殺人死体が流れて来ることから、この小説は始まる。やがて犯人側の声明通り、残りの部分が発見され、それが二人のうら若い女性であったことが分かる。
主人公は、離婚した刑事とその息子の順。近くの画家篠田東吾が犯人だとの噂が流れ、順が友人と捜査に出かけると、篠田に見つかるが、彼の大作「火炎」を見て感動する。篠田の家を覗く怪しい女、篠田に仕える才賀とその息子の英次、そして少年法改正に反対を唱えるおかしな少年達の群の出現、と話は進む。
事件は、タレント志望の女相原めぐみと恋に落ちた英次が、少年達に襲われ、英次が置き去りにして逃げた結果、めぐみが殺された事が発端。さらに事件に気づいた別の女性が殺される。しかし犯罪が発覚しても、少年達は大した罪にはならないが、司法試験を受けようとしている二十一の英次には大打撃。これを知って少年達が逆に強請る。
父の才賀はなんとか英次を助けようとする。才賀は彼らに協力し、死体をばらまく一方、金を渡す約束をする。しかし順と共に捕らえられ、埠頭に連れて行かれたお手伝いのハナは、才賀がこれを機会に少年達を抹殺しようと計画していることを暴露・・・・。
この小説で作者はいくつかの主張(あるいは問題提起)をしたかったように思える。
(1)少年法の矛盾
だいたい、法律がどうかしている。どんな凶悪なことをした連中でも、未成年と言うだけで罰しもせず、名前も公表せず、また社会の中に返しているじゃありませんか。(290P)
(2)若者と中年以上の世代間の考えの違い
篠田が犯人であるような噂をばらまきいたずらした少年大木毅が、最後にふてくされる場面
(3)無軌道な少年は悪いがそれを育ててきたのは我々世代だと言う考え
しかし、そう言う少年達を育ててきたのは、才賀さん、我々の世代ですよ。自分の子供に比べたらあんな連中の命などものの数でもない、と言う考え方をしている、我々の世代です。(291P)
ただ私は同時に作者は答えを出すまでには至っていないところが、ちょっと物足りなく思った。
・剣土杖(143P)
・私が申し上げたかったのは、人は誰でも武装するものだ、と言うことでございます。・・・旦那様と奥様は、武装を解けば同じ心をお持ち何でございますよ。ただ、あわなかっただけでございます。(191P)
・ゼロックス・ロア(196P)
・バラバラ殺人の心理(254P)
・才賀英次なんてちょろいわ。うまくとりいって、篠田東吾のモデルになってみせる。(272P)
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