(第20回小説推理新人賞 小説推理(双葉社))
白戸は大学卒業のかかった試験が三日後にせまっている。友人の八木に「古本屋の店主猪田を殺したとして追われている。実は私は彼とはアパートの立ち退き問題でトラブルを起こしており、疑われても仕方がない。実際の犯人で掏摸の桑田を捕らえて欲しい。」と頼み込まれる。知り合いの退職刑事山野井に頼み込み、掏摸仲間を追跡、ついに桑田を捕まえたかに見えたが・・・・。実は白戸は掏摸仲間の上前をはね、都合の悪い証拠写真を撮っていた猪田を殺した山野井への復讐の為に、掏摸仲間に利用されたものだった。
さすがに一席になるだけあって良くできているが、具体的には次のような点に感心。
(1)話が一つに良くまとまっており、矛盾がなく自然である。
(2)山野井と一緒に掏摸を追跡する場面が非常に具体的で、面白く読める。
(3)実は掏摸達がしくんだ劇だったというどんでん返しがあっと言わせる。
(4)最後の試験問題がポストに入っていたという下りも暖かみがあって良い。
講評欄で突き抜けたものが少し足りない、八木や山野井に人間の匂いがしない、どんでん返しもあるが役柄の上での登場人物だ、殺人の動機が納得できない、等は耳に痛いところだなと思った。